土曜に計画していた山行を所用で延期して、別件として日曜に登ることになった。
元々考えていた山は富士山の展望が良いところもポイントだったのだが、日曜の天気予報が曇りだったのでそれがあまり期待出来そうにないことと、そこそこ遠いので帰宅が遅くなるため、翌日の影響も考えて別な山を探すことにする。
一昨年の年始に登った秩父の山 が、低山の割に好展望だったと記憶しているので、まずはその近辺に絞って候補を探す。秩父エリアはアクセスが良い低山が多いのだが、低山過ぎて食い足りない印象が強い。
前回は小さな山を幾つか縦走してロングコースの形にしたので、今回もそれが狙い目。
春先のグループ山行で候補を探す際、このエリアで蕨山というのを候補に挙げていたが、自分一人で歩く場合、それだけだと若干短いと思われるので、それに隣の有間山を繋げて半日強のプランに仕立てることにする。
名郷バス停と石灰石採掘場
朝5時半に久我山を出発し、中央線で西国分寺、国分寺線で新秋津と乗り継ぎ、秋津まで歩いて西武池袋線で飯能へ。
最長の秋津~飯能でも30分、他は全て15分も乗車時間が無い慌ただしい経路だが、今回はここからのバスが長く、下車する名郷バス停まで1時間掛かる。
ただ、秦野~ヤビツ峠のように山道をグネグネ蛇行するような道中ではなく、席さえ確保出来てしまえばぐっすり寝て行けるので、思ったよりも労せずに辿り着くことが出来た。
朝の予報では「曇り時々晴れ」とのことだったが、現地到着の段階で青空が広がりつつあった。冬場のようなスッキリと晴れ上がる感じではないけど、これなら周辺の山々ぐらいは見渡せそうだ。
名郷のバス停では自分の他に10人ぐらい下車し、自分以外は皆、蕨山に直接登るコースに向かった。
準備運動などを済ませて、8:20にバス停を出発。渓流沿いのなだらかな道を歩くと、幾つものキャンプ場が現れる。
この日はこの時点でかなり蒸し暑く、キャンプ場に来ている子供達は既に水遊びを始めていた。気温は20度ぐらいだけど、とにかく湿度があって、少しでも動くと途端に汗が噴き出る。
ちなみにバス停からずっと、有間山へのコースであることを示すようなものが全然無いので、出発直後にちゃんと地図を見てコースを確認しておかないと不安に感じると思う。
車道歩きを30分程続けると、やがて正面に「JFEミネラル」と書かれた施設が見えてくる。
この舗装路の終着点がこの施設で、昔は「白岩鉱山」という名前で操業していたらしい。今風の社名に変わってはいるものの、石灰石採掘場であることは変わっていない様子。人の気配はあまり感じなかったが、機械が運転している音は聞こえてくるので、絶賛稼動中のようだ。
施設の入口まで来ると、この日初めて、ようやく有間山へのコース案内が登場。
案内板の指示に従い、施設脇の階段を上って施設の裏手を通る。
裏手というか、敷地を通らせてもらうような形になっているようで、日常的にはあまりお目に掛かれない距離と角度から、工場的なものを見下ろすことが出来る。専用軌道なんかもあったりして、これは男子的になかなかグッと来るものがある。
白岩の廃集落
裏手の高台を抜けると、いよいよ登山道らしきものがスタート。10分も経たない内に白岩の廃集落が姿を見せる。
かつては鉱山と共に炭焼きで生計を立てていた集落であるとのこと。無人化したのは90年代ということで、以前に行った奥多摩の峰集落なんかと比べると、まだまだ風化が進んでいない印象。背後には白岩の荒々しい山体が聳え立っている。
陽当たりの良い開けた場所にあるためか、廃村にしては陰鬱な雰囲気が無いけど、陽が傾いてから訪れるとまた違うと思うので、このコースは下山には使いたくないなぁ。
鳥首峠
白岩集落から30分程上ると、第一チェックポイントである鳥首峠に到着。風が通る気持ちの良い稜線で、北に向かえば武甲山、南に向かえば本間山へと続いている。
少しガツガツと高度を上げると、東側の木々の間から展望が現れる。
更に上ると鉄塔の下を潜る小ピーク。ここからの展望はなかなか。
鉄塔自体は珍しくないが、真下を通れるというのはあまり馴染の無いパターンだ。
これでしばらくは好展望かと思いきや、再び木に覆われた細い尾根道に戻される。何気にアップダウンがしっかりあって、中でも1つ、ちょっと手強い傾斜が中頃にある。
小砂利でザレているかなりの急坂で、手を掛けるような箇所も乏しいが、石灰質なので、もしかするとちょっと湿っているぐらいの方がグリップするのだろうか?
真ん中ぐらいから細いロープを掴めるようになるけど、どうにも頼りない。高度感もなかなかあり、個人的にここを下りるのはあまり歓迎出来ない。
案外シンドいアップダウンを何とか抜けると、ようやく広大な展望が迎えてくれる。谷を挟んだ西側に仙元尾根が連なり、南に辿っていけば、年末に登った蕎麦粒山 も見える。数は少ないけど、色鮮やかなツツジも目に眩しい。
ここからしばらくは絶景が続くのだが、道に沿ってずっと背の高い網が張られているため、あと一歩物足りない感じが非常に惜しい。
稜線を伝って滝ノ入頭、ヤシンタイノ頭と渡っていく。この区間のアップダウンもそれなりにあるが、景色が良いのであまり苦にはならない。
滝ノ入頭で本日初めて他の登山客と擦れ違い、以降は1時間に1~2人ぐらい。基本的に自分とは逆方向に向かう人ばかりなので、みんな武甲山に向かうのかもしれない。
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