▲ 雪桜で山初め – 万二郎岳・万三郎岳 (1,405m)

ここ数年で恒例行事となっている、年末年始の山納め or 山初め。今年はhikaruと伊豆最高峰の天城山に登ることにした。

天城山は山名よりもむしろ、石川さゆりさんの「天城越え」の方が有名かもしれない。天城山と名が付く特定の山は存在せず、幾つかの山々からなる連山と捉えるのが正しいようだ。
今回我々が登るのはその内の最高峰である万三郎岳と、その手前の万二郎岳の2つ。天城山全体で百名山に名を連ねているので、その半分を歩くようなコースである。

例年は1月下旬ぐらいまで積雪はほとんど無いらしいのだが、12月下旬の寒波、そして我々が計画している1月3日が非常に寒くなるという予報から、防寒とスノートレック用の装備が必要になりそうだった。
昨年もほぼ同じタイミングで下田から 寝姿山に登った けど、この時は小春日和のような暖かさを感じる場面もあったりしたので、立地上は近くても、真逆の山行になると思われる。

天城高原ゴルフコース 駐車場

午前2時に家を出て、hikaruの運転で一路伊豆へ。
一般道を繋いで5時間弱、本日の出発地点となる天城高原ゴルフコースの駐車場に到着。到着した6時半の時点で、辺りは丁度明るくなりつつある状況。我々の前に5台ぐらいの先客が居て、何組かは車内で出発を待っているようだった。
天城山のスタートとしては基本的にここ一択であるためか、登山者用の駐車エリアが設けられており、立派なトイレ施設まで用意されている。(ただし、冬場はトイレが閉鎖されて駐車場のみ利用可能)

山行用の装備に着替え、外に出てクッカーでお湯を沸かす。
今回登る2つの山は、展望があまり期待出来ない山頂であるため、極力調理には時間を掛けないようにしようと予め相談していた。
食料として持って行くのは、おにぎりとカップスープ類、あとはコーヒーに相方が昨晩焼いてくれたビスコッティという構成。お湯を先に沸かして魔法瓶で携行し、クッカーを荷物から省いている。


7時に出発。すっかり明るくはなっていたが、空は雲で覆われて、この段階では微妙なところ。
予報では一応晴れ間もあるとのことだったので、それに賭けるしかない。気温は2度。

登山道に入ると、一面が雪に覆われていた。来た時は暗くてよく分からなかったけど、駐車場手前の坂もすっかり凍っている。やはり昨年のクリスマスに降った雪がしっかり残っているようだ。
登山道は結構踏まれているので、ほとんどの部分は踏み跡が見えるし、雪自体も溶けて凍ってを繰り返して適度に固まっているので歩き易い。登っている分には、アイゼンかトレッキングポールのいずれかがあれば不安が無さそうだった。

四辻分岐

30分ほどで四辻分岐。登山口からここまでは、緩やかな下りが多い。
そのまま南下すると万二郎岳、西に折れると万三郎岳、という形で分岐している。今回は万二郎経由で万三郎を目指すので、ここは直進して南下。

四辻を過ぎてようやく上りが始まるが、非常に緩やかなので楽々歩ける。中程度の高さの木々に囲まれて視界は良くないものの、広葉樹ばかりなので今時季は葉が落ちて鬱蒼とした感じではない。
このコースは過保護なぐらいに指導標が多く、日英中韓対応のものもあったりすることから、比較的最近になって整備が行われていることが分かる。

見上げると万二郎岳の山頂付近がガスに覆われいて、若干ゲンナリしつつ歩を進める。
階段の端など、雪の下から凍結した箇所が覗いていたりするが、目視出来る程度だったので、気を抜かなければ転倒の危険は低い。山頂手前で若干勾配が上がるが、それでもやっと普通の上りといった程度。

万二郎岳 山頂

8時半に万二郎岳山頂に到着。木が多く、展望の少ない山頂だ。
南側の斜面が若干開けているが、想像通りガスっていて遠くを見渡すことは出来ない。その南斜面から冷たい風が吹き上げるため、体感温度はかなり低い。

うっかり朝食を食べずにスタートしてしまっていたため、この時点で既に2人とも腹ペコ。寒さに震えながら、持参したおにぎりと豚汁を胃袋に収める。湯気を立てていたはずの豚汁がみるみる冷たくなっていくのが悲しい。
強風により、流れる雲の間から時折展望が得られたのが僅かな救いか。


9時過ぎに山頂を出発。
ここからは下りが続くため、軽アイゼンを装着する。靴底に収まるコンパクトな6本爪なので、歩く感覚は非装着時とあまり変わらない。
山頂はガスで視界が今ひとつだったが、少し下ると気持ちの良い青空が現れた。正面に見える万三郎岳も上に雲が掛かっているが、万二郎よりは薄いので大丈夫そうだ。

山頂直下のビューポイント

下り始めて5分ほど、木立の少ない稜線が本コース一番のビューポイント。北西の雲海の上に、見事な富士山が姿を見せている。雲の上に浮いたように見える富士山は金峰山でも見ているが、ここからの方が近くに見える。
伊豆の山に昔から登っているというハイカーの方曰く、正月の積雪も珍しいし、ここまで綺麗に見えるのもかなり珍しいとのこと。万二郎岳の山頂が散々だったので、この日の展望はあまり期待しないようにしていたけど、これは願ってもないサプライズ。
目指す万三郎岳も山頂からの展望は得られないようなので、ここでしっかり堪能しておく。

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馬の背のアセビトンネル

そこからあと少し岩場を下り、しばらくは “馬の背” と呼ばれる緩やかな尾根歩きが続く。幅の広い尾根のため、切り立った箇所が一切無く、滑落の危険が無い代わりに、絶景も少ない。
途中、地図では “アセビのトンネル” と書かれている直線があり、花の時期には良さそうだ。葉の落ちた今時季も陽だまりが心地よく、なかなか楽しいポイントだった。
しばらく登ってから振り返ると、万二郎岳が綺麗に見えた。山頂のガスも晴れたらしい。

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万三郎岳山頂手前の樹氷

万三郎岳もそこそこの傾斜が現れるのは山頂手前の15分ぐらいからで、その辺りから、高い樹木の枯れ枝に樹氷がビッシリと付く光景が見られるようになる。
先のビューポイントから見たときに、木々が真っ白くなっていたので期待はしていたのだが、近くから見上げると、まるで純白の桜のようだ。
風が吹くと細かい氷が飛んで、キラキラと輝く。これはその場に居ないと味わえない。