▲ 日光三嶮初山行 – 太郎山 (2,367m)

小太郎山

山王帽子山から2時間弱で小太郎山に到着。
地図なんかだと単なる稜線上の小ピークといった扱いになっているが、何気に360度の大展望が堪能出来る良ポイント。個人的にはこの後の太郎山から見るよりも、ここからの景色の方が好みである。


小太郎山から次の太郎山までは30分程度。
高低差も30mほどの僅かなものだが、ここからが日光三嶮と呼ばれるポイントを持つ山の真骨頂。ゴツゴツとしたヤセ尾根ではあるが、滑落の危険があるような箇所はほとんど無いので、高度感と雄大な景色を味わいながらの稜線歩きが愉しめる。
ちなみにここで今日初めて、自分以外の登山客と擦れ違った。

太郎山 山頂

やっと辿り着いた太郎山の山頂。
振り返って見ても、やはり小太郎からの岩稜はなかなかのものだ。
大きな岩がゴツゴツと聳えた太郎山山頂の眺望もさすがの一言に尽きるが、小太郎山よりも広い分、それぞれの方面を見回すには歩き回らねばならず、一部は木々によって遮られているため、一望する感覚は小太郎山の方が大きい。

山頂には先客が4組。単独行は自分だけ、かつ山王帽子経由で登ってきたのも自分だけのようだった。往路と復路を変えたいが故の選択ではあったのだが、やはり手っ取り早く新薙 (自分にとっての下山ルート) から登る人が多いらしい。
太郎山から小太郎山を往復しても1時間程度なので、新薙を往復する人でも、時間に余裕があれば小太郎まで行くことをオススメする。

景色の見事な岩場に荷物を降ろして、昼食の準備に取り掛かる。夏場は冷たい麺類を食べることが多かったので、結構久々のカップ麺である。
食後のコーヒーを堪能していると、下の方から沸き立つように雲が発生して、ものの数分で視界が白く覆われてしまった。覆う早さに比例して抜けるのも早かったので、しばらくすると晴れ間が戻った。雨や落雷が懸念されるような雲ではなさそうだし、山らしいイベントの1つとして楽しむ。
山頂の気温も20度を下回ることはなく、適度な風がとても心地良かった。

花畑

バスの時間も気になったので、食事の後は手早く身支度を整えて下山を開始。
食事用も含めて2L強の水を持って来ていたが、いつもの自分のペースと比較すると消費が早く、下山開始時点で残りが700mL程度。
以降は下りるだけなので、そこまでハイペースで消費する心配は少ないが、時間にして4時間の長丁場なので、少しキープしながらの下山を心掛ける。

山頂の少し下に花畑と呼ばれる火口の窪地がある。昔は名前の通り花が咲いたりもしていたようだが、今は一面笹しか見ることが出来ない。
それでも幻想的な光景であることには変わりなく、この日は先の台風の影響なのか、普段は見られない池が出現していた。うーん、感動…

新薙ルート

花畑を過ぎると下山コースの本番。ここからが日光三嶮と呼ばれる新薙で、まずは3筋のガレ場を横切る。1つだけ若干スリッピーな場所があるので、風が強い時などは注意が必要だが、それ以外は別段身の危険を感じるようなものではない。

むしろ大変なのはこれらを過ぎた後に待つ長い岩場の下りで、ほとんどは補助的な意味合いながら、かなりの傾斜のロープ場が1時間も続く。頑丈なザイルが吊るされいる箇所もあり、さすがにここは使った方が安全だろう。長丁場を歩いた脚には結構負荷が大きく、歩幅が狭い人には猶更キツいポイントである。
山王帽子山を経由せずに済むので短期決戦で登れるし、車なら林道歩きを大幅にカット出来るのでこのコースを選ぶ人が多いのは納得だが、こちらもこちらでとても容易とは言い難く、短距離走と持久走のどちらを選ぶかというような選択肢だ。
どちらも非常に楽しいコースではあるが、自分の身近で誘える人は少ないかな…

急な岩場が終わると、30分ほどの緩やかな樹林帯を経て林道出合に出る。登山道はここで終了。ここまでは車で入ることが出来るので、ここを起点に往復する人が多いようだ。
ちなみにバス利用の場合、ここからが案外長丁場。林道分岐まで15分の砂利道の後は、ひたすら舗装路を1時間強歩く。この間の傾斜はキツくないので、テクテク歩けば時間を稼ぐことも可能なのだが、舗装路なのでクッションが利かず、酷使した脚には結構堪える。

三本松バス停

16時10分に三本松バス停に帰着。ここは戦場ヶ原散策の拠点となる場所なので、土産物屋や飲食店が充実している。
直前にスタート地点である光徳入口に戻る分岐もあるが、特に理由が無ければ三本松に向かう方が良いだろう。(光徳入口には自販機すら無い)

予定よりも1本早い、16時19分のバスで日光駅に戻る。
16時以降は1時間間隔の運行になってしまうので、ここで1本稼げたのは結構大きい。
帰りは途中下車して やしおの湯 に立ち寄ることも考えたのだが、最速で乗り継ぐと22時前に帰宅出来ることが分かったので、今回は前日も利用した駅前のホテルの内風呂で済ませることにした。


巣み家に立ち寄り、預かってもらっていた着替えを取り出してホテルに急行。カラスの行水のように身体を洗い、何とか最速の電車に乗れる時間にホテルを出た。

再び巣み家に戻り、汚れ物をパッキングして帰り支度が完了。
実はこの日、夜にイベントがあるので参加しませんかとお誘い頂いていて、内心かなり後ろ髪を引かれていたのだが、週末中に済ませておきたい案件があり、断腸の思いでそのままの帰京となった。今回唯一の心残りである。

ともあれ、今回はゲストハウスという貴重な選択肢を得たこと、新しい山域の開拓に成功したこともあり、とても有意義な週末を過ごすことが出来た。
日光方面に出張る際にはまた巣み家さんにお願いすることになるはずなので、その際にはまた宜しくお願いします。