去年 に続き、今年も年末年始でライトトレック。
「ライトではあっても、それなりに得るものは得たい」という都合の良い欲を出すと、やはり半島系の山々がフォーカスされる。
今回は 一昨年末の巣雲山 より更に南下して、伊豆下田の寝姿山へ。
当初は同じ伊豆の他の山に登る計画もあったんだけど、この時季は日没が早いことと、首都圏からのアクセスには時間を要することから、半分旅行の感覚で 下田からロープウェイ が使える寝姿山に登ることにした。
伊豆は今回同行するhikaruの第2の故郷とも言うべきエリアなのだが、いつもは浜がメインで山に登った記憶が無いとのことで、その辺も踏まえて面白いチョイス。
年始からの快晴続きが落ち着いてしまい、三箇日時点での伊豆は曇天~雨の予報。更に寒冷前線が近付いてきており、関東圏は雪マークまで現れる有様。低山なので、曇天でもそれなりに展望は得られるだろうと自分を励まして当日に臨む。
前日になって前線の北上がストップしたため、予報が晴れ~曇りに回復。午前中であればそれなりに晴れ間が拝めそうで一安心。
伊豆急行 下田駅
朝4時に起床して、まだ真っ暗な中を駅に向かう。雪は降らないまでも、さすがに冷気の切れ味が鋭い。荷物になるので持って来ていないが、自転車だと耳当てが欲しいところ。
5時半に小田急線下北沢駅のホームでhikaruと合流。急行に乗って小田原で東海道線、熱海から伊豆急行に乗り換え。
伊豆急と言えば、大きな窓に向けたシートから海を眺める車両の印象が強いけど、今回は比較的普通のボックス席+窓を背にした横向きシートという特徴の無い車両。もしかすると、各駅停車の車両はこのスタイルなのかも。
2人とも寝不足気味だったので、ほとんど寝たまま下田に到着した。
下田は曇りがちながら、雲間からそれなりに青空が覗く空模様。浜風が吹く駅前は結構寒く、2人とも身体に火が入っていない状態なので、寒さに震えながら隣のロープウェイ駅に向かう。
ロープウェイは約15分間隔で運行されていて、我々は9:45の便に搭乗。
チケット売場の運賃表には往復1,000円という情報しか載っていなかったが、窓口で確認すると片道600円のチケットも売られていた。ちなみに往復券は伊豆急の下田駅なら900円で購入出来る。
寝姿山
ロープウェイに乗って数分で寝姿山の山頂駅に到着。
半島南端に程近いだけあり、北東から南西までの海岸線が一望出来る。東京湾を挟んでの東西は異なるが、丁度 去年の鋸山 からの展望に似ている。鋸山からは対岸の三浦半島や富士山が良く見えたし、こちらからは大島・新島・神津島といった伊豆諸島の島々を見渡せる。
駅前では多少風があって肌寒かったけど、山頂はほとんど無風で日差しが暖かい。
愛染堂
寝姿山の山頂には愛染明王を祀った「愛染堂」なるものがあり、これが縁結びのパワースポットとなっているようで、ハートを象った絵馬等が掛けられていた。
愛染堂までの脇道には「迷路 →」と書かれた看板が立っていて、背の高い植え込み(のようなもの)で作られた迷路が佇んでいる。20年以上前に流行ったよね、巨大迷路。
スタート地点には「スタート」のサインがあるんだけど、ゴール地点には何も無く、迷路をクリアした事に対する喜びが不完全燃焼で終わらされてしまって尻すぼみである。
高根山ハイキングコース
愛染堂の裏手にハイカーのみ立ち入りを許された裏道があり、本日の山行はここがスタート。
とは言っても、本来この道は境内への関係者用運搬路として敷設されたもののようで、しばらくは舗装路と砂利道の緩やかな私道をダラダラ歩く形となる。
ロープウェイには我々の他に10人弱の乗客が居たが、こちらに進むのは我々だけ。道中、猪捕獲用の檻や「山芋を掘るな」と書かれた看板を発見。
寝姿山山頂を出発して20分、舗装路の脇に登山道の看板が登場。このまま舗装路を歩いてもまだ進めるのだが、いい加減そろそろ土を踏みたくなっていたので、迷わず登山道に入ることにする。
ここまでで1組の親子連れと擦れ違ったけど、他に登山客の姿は見当たらない。
登山道は最初に少し道が分かりづらい箇所があるものの、基本的には歩き易く整備された環境。勾配という勾配がほとんど無く、ハイキングと言うよりはウォーキングに近い感覚で歩ける。
登山道から元の舗装路に合流して、間もなく登山道が再開。昨年の巣雲山もそうだったけど、やはり伊豆半島は東京周辺の山々とは雰囲気が異なる。
違いは主に植生によるもので、御殿場方面以上にアオキが目に付いた。背の高い常緑樹が多いものの、葉は陽の当たる上部にしか茂っておらず、視界は広い。また、細かい範囲で分布が異なっているようで、少し歩くだけでも景色が変化して飽きが来ない。
猪が牙で付けたと思しき痕も発見。檻もあったし、やはりそれなりに居るんだろう。
暖かさのお陰で果実が多く残っているため、小鳥が多いのも印象的。倒壊した小屋の近くで小休止していると、「コココココン」というキツツキらしき音も聞こえてくる。帰って調べてみると、この辺りではコゲラという種のキツツキが生息している模様。
実は今までにキツツキの存在を近くに感じたことが無かったので、絵本や図鑑等では存在を知っていても、今一つピンと来ない鳥だったのだが、今回の件でようやく身近な鳥として実体を伴ったと言える。ちょっと感動。
緩やかな山道をひたすら歩き、最後にようやく急坂が現れる。
山頂にTV局のアンテナ等があるため、この急坂に沿って電柱が立っていて不思議な感じだが、傾斜・高低差としてはなかなかのもので、高所恐怖症の人は振り返ると足が竦むかもしれない。
登り始めは東伊豆の海岸線が綺麗に見えているが、途中から両脇の木立に遮られてしまうので、山頂を目指してひたすらよじ登っていくことになる。
ロープが設置されているし、足場は比較的安定しているので、乾燥していれば危険は少ない。ここまでが平坦過ぎたので、最後ぐらいは一汗掻いて、達成感を味わうのがいいだろう。
ちなみに実は、下田の駅を出てからここまで水分を一滴も摂取せずに登頂してしまった。本当は喉が渇く渇かないに拘らず、定期的に水分補給しなければならないのだが、それさえも意識から抜けてしまうぐらい、キツいポイントが無かったのである。(次回からはちゃんと補給しながら登ります…)
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