▲ 新年早々地獄詣で – 鋸山 (329m)

昨年末に “登り納め” と称して 伊豆の低山に登った ばかりだが、今度は登り始めということで、2日に本年初登山を敢行してきた。
去年は ダイヤモンド富士を拝むために元日登山 をしていたし、9日にも 秩父の山に登った りしていたので、正月太りを避ける意味でも毎年恒例にしたい。

今回も冬場なので積雪を避けて、身近で夏場に行かなそうな山を検討。去年のダイヤモンド富士を企画したhikaruも参加することになり、今回は千葉の鋸山に登る。

鋸山は房総半島の内房側、南端に近い位置の海岸線にある。房総は今まで 上総亀山上総中野 まで行ったのが最南なので、今回それを若干更新することに。
最寄駅はJR内房線の浜金谷で、東京からは乗換1回で来ることが出来るのだが、実は三浦半島の久里浜から 東京湾フェリー で来るという選択肢もある。
候補が幾つか挙がった中、「山に登るために船で現地に向かう」というチグハグ感が正月っぽくて良いということで、今回は鋸山に決めた。

東京湾フェリーで金谷へ

6時過ぎに品川駅で合流して、京急線で久里浜まで1本。久里浜駅からバスで10分、東京湾フェリーの久里浜乗船場に到着。久里浜~金谷間は1時間置きに船が出ていて、今回は8:20の便に乗船する。

ちなみに自宅から現地までの交通費を計算すると、電車の場合は往復4,660円、フェリーを使うと3,680円で済む上に、タイミングによっては電車よりも速い。
フェリーは欠航する可能性も無くはないが、その天候で観光に赴くことは考え難いので、個人的にこのエリアに向かう場合はフェリーがいいのではないかと思う。


9時ジャストに金谷港に到着。
フェリーの船着場に結構広めの物産コーナーがあり、隣に the Fish というマーケットもあるが、どちらかと言うと観光客相手の土産物屋的な雰囲気で、漁港の市場といった感じではなかった。

鋸山

とりあえず、近くのコンビニで朝食と昼食、飲み物を購入。
昼食はいつも通りのカップ麺と、今回はサンマの蒲焼き (缶詰)、そして正月なので切り餅を買ってみたが、残念ながら網が売っていない。いつもの我々であれば、最初からそのつもりで網を持参しているところなのだが、この日はお互い前日にバタバタしていたため、+アルファの部分まで気が回らなかった。道中で網として使えそうなものを探すという、僅かな望みに賭けてみることにした。

コンビニを出発して、まずしばらくは舗装路を歩く。居住区を抜けて内房線の高架下を潜り、高速道路の下を潜り、「ひかり藻発生地」なる洞穴を横目に見つつ、まずは登山道の入口へ。
ひかり藻のというのは何となく聞いたことがあったけど、いつどのようにして見られるのか一切の情報を持ち合わせていなかった。春になるとチャンスがあるようだが、残念ながら今は冬なので何も見えなかった。

登山口

30分程歩くと登山道を示す看板が現れ、舗装路もここで終了。すぐ隣を高速道路が通っているので、この時点ではまだかなり騒がしい。
登山道に入ると間もなく、苔生した切り通しが断続するようになる。岩場だが、平坦な石が敷き詰められているため、足場はとても安定している。

登山口から20分ほどで、最初のビューポイントに到達。
鋸山自体が300mそこそこで、この地点も標高としては大したことは無いはずだが、海岸線の山だけあって、早くも抜群の展望を得ることが出来る。まだ雲が抜け切らず、遠くまで見渡せるわけではないのが少し残念。

石切場跡

更に10分で石切場跡。コンパクトな割に見所が多い山なので、間髪入れず次々ネタを放り込んでくる。
この石切場跡は事前に写真で見ていたのだけど、その場に立つとそのスケール感に圧倒される。岩の大きさも勿論凄いが、どうやって削り出したのか分からないほどの掘削規模だ。採石場と言うより、何かの遺跡に足を踏み入れたかのような静謐さを感じた。

展望台

石切場跡を過ぎると多少勾配が急になり、一気に標高を稼いで展望台へ。
北西に東京湾、西に三浦半島、南西に相模灘、東には太平洋と、「展望台」の名に偽り無し。遠くまで雲が抜けていれば、多分富士山も見えたことだろう。

以降は眺めと人の少なさを両立出来そうなポイントが無いので、ここで昼食にする。
まずは定番のカップラーメンで暖を取り、続いてサンマの蒲焼きを加熱。いつもはおにぎりを組み合わせるところだが、今回は海の気分を出すために缶詰を選択した。
餅を焼く網に使えそうなものを探しながら登ってみたものの、残念ながらそれに使えそうなものを入手出来なかったので、餅は来年の正月まで延期。
蒲焼きはどう考えても美味しいだろうと思って買ってみたが、期待に違わぬ鉄板の味だった。冬の人が少ない山なら匂いを振りまいても気兼ねが無いので、缶詰シリーズは今後も挑戦したい。

上空はそれなりに風が強いらしく、40分の滞在の間に何度か青空を見ることが出来たし、とてもまだ前半とは思えないほどの充実振り。


展望台から下りて、再び石切場跡を通過。先程は少し離れた位置から覗き込むだけだったけど、今度は切り立った岩の間を通る。

次の目的地は「地獄のぞき」と呼ばれる崖の上からの絶景ポイントなのだが、道は下る一方でどんどん標高を下げていく。

分岐ごとにしっかり道標がされているので迷う心配は無いけど、しばらく進んで「地獄のぞき」と思しき崖を真上に見上げるようになっても、それを示す記載が一切出て来ないので、このコースで合っているのか若干不安になる。
とは言え、ここまでの分岐で他にそれらしき選択肢は無かったはずなので、覚悟を決めてひたすら下る。

展望台から20分ほど歩くと、重機が放置された広場に出た。
周囲は石切場跡の岩壁に囲まれていて、奥にステージのような高台があり、それを仰ぎ見るような形でベンチが設置されている。

それなりに朽ちていたので、今は使われていないものかと思っていたが、帰宅して調べてみると、どうやら最近までオーケストラに使われていたらしい。
向かって左手の壁には「安全第一」と刻まれているが、何故か「全」の字の冠が無い。


ステージを後にして間もなく、急な石畳の階段が出現。どうやらこれが「日本寺」に続いているらしい。
ここに来てようやく、地獄のぞきを示す手彫りの道標も登場した。コースを間違えていなかったのは一安心だが、目指すその地点はまだ遥か先のように見える。

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