OSPREY | ケストレル 38 (2019年モデル)

10年ほど前にオスプレーの ストラトス 32、その翌年に ストラトス 26 を購入し、前者は1泊、後者は日帰り山行で活躍していた。
その後日帰り山行用はホグロフスの VINA 30 に置き換わり、荷物の圧縮により1泊の場合もそれで賄うことが多くなったのだが、「Airback サスペンションシステム」の構造上、数字ほど荷物を詰め込める感覚が無く、やはり1泊用にはもう少し容量が欲しい。
ストラトス 32 に置き換わるザックをと思って探したところ、今年モデルチェンジした ケストレル 38 が良さそうだった。

デザイン等

カラーバリエーション

「ブラック」「ラックブルー」「ピコリーヌグリーン」の3種類。
いずれもかなり深い色合いで、ワントーンだった2016年モデルよりも更に単色化され、ロゴのあしらいとセットでかなりストイックな印象を与えるデザインとなっている。
今回自分が選んだのは、名前の響きが可愛らしい「ピコリーヌグリーン」。

ロゴマーク

これまでは雨蓋に白・黒・赤と3色を用いた主張が強く大きなロゴだったが、背後の楕円が無くなり、白(銀)1色のシンプルなものになった。

また、フロントパネルのボトム近くにオスプレーマークと製品名が表示されていた部分は製品名だけになり、こちらもシンプル化が推し進められている。

サイズ、重量

S/M、M/Lの2種類だが、引き続き背面長の調整システムが搭載されているので、身長に応じて柔軟な対応が可能になっている。

2016年モデルの1.42kgから微増して1.54kgとなったが、そこまで気にならない範囲。
生地が以下のように変わったらしく、ニュースリリースでは「耐久性が向上」と謳われている。

メイン
210D ナイロンダブルダイヤモンドリップストップ → 210Dx630Dナイロンドビー
アクセント

420HDナイロンパッククロス → 420HDナイロンオックスフォード
ボトム

420HDナイロンパッククロス → 500Dナイロンパッククロス

機能

2019年モデルは2016年モデルのマイナーチェンジ版といった印象で、機能的に大きな変更点は無いが、2016年モデルの時点で十分な機能を備えていたという見方も出来る。
2016年モデルに関しては既に各種レビューが揃っているので、ここでは2019年モデルでのアップデート部分を重点的に紹介したい。

固定式トップポケット

2016年モデルの58L以上だと着脱及び上下稼働が可能になるようだが、やはり2019年モデルでも38・48Lには採用されていない。
背中側にジッパー式ポケット、リッド下にジッパー式メッシュポケットが付いている。
背中側のポケットは2016年モデルで「取り出しにくい」「高さが無い」といったレビューもあるが、2019年モデルに関しては、自分の使い方で特にそういった不満は感じていない。

トップの両サイドに2箇所ずつ、バンジーコードが付いている。

フロントパネルハイブリッド突き出しポケット

2016年モデルでは「ストレッチポケット」と記載されていた機能の置き換え。
メッシュ&ストレッチの箇所がポケット全体からサイドのみに縮小され、中央部分はハードな材質になった。
大型のメッシュポケットは使っていく内に伸びてビロビロになってしまうことが多く、自分の場合はタオルやレインカバーを入れておくぐらいにしか使っていなかったので、ストレッチ箇所がサイドだけになったのは大歓迎。これで脱いだアウターを気兼ねなく押し込める。

エアスケープバックパネル

海外サイトでは「AirScapeリッジフォームバックパネル」と記載されている。
『ストラトス』等のように背中との空間が大きく確保されているわけではないので、蒸れの軽減効果に関して過度な期待は出来ないと思われるが、荷室の湾曲が少なくパッキングし易いというメリットもある。その辺は好みの問題だろう。

デュアルアッパーリバースストレートジャケットサイドコンプレッションストラップデュアルローアーサイドコンプレッションストラップ

2016年モデルでは「リバースストレートジャケットコンプレッションストラップ」と記載されていた機能の置き換え。
小学生が考えた必殺技みたいに長いので、本記事では「上部サイドコンプレッションストラップ」「下部サイドコンプレッションストラップ」と呼称したい。

それはさておき、本機構自体の機能としては、2016年モデルと大差無さそう。
上下両サイドのストラップを締める一般的なコンプレッション機能だが、ストラップを反転させることでスノーシュー等を固定することが出来るようになる機構が追加されている。
目下そういったギアを扱う予定は無いし、この機能を使うと当然コンプレッション機能が死ぬことになるので、個人的には普通のコンプレッション機能としてしか利用価値は無いかな。

ちなみに上部サイドコンプレッションストラップは後述するアイスツールアタッチメント、下部はスタビライザーストラップの機能も兼ねている。

デュアルエントリーサイドポケット

上部の他に背中側にも開口部があり、背負ったままでもアクセス出来るようになっている。
背負ったままでも水筒を取り出し易くなるかとも思ったが、背中側開口部のサイズ的に500mlペットボトルのサイズ感だと出し入れが出来ないため、少なくとも自分が使っているウォーターボトルでは活用出来そうにない。
また、逆サイドのポケットにはTHETA等の小型ガジェットを収納したいのだが、落としてしまいそうで少し不安。

[ 2019.03.24 追記 ]
先日の山行 でテストしてみた結果としては、背負ったままだとボトルやTHETAが取り出しづらいという問題があった。個人的にはもう少し浅い方が嬉しかったけど、まぁギリギリ出し入れ可能といったところ。

フローティング仕切り付ジッパー式寝袋コンパートメント

2016年モデルで「下部アクセスジッパー(1~2気室切り替え式)」と記載されていた機能の置き換え。
多分、機能的にはほぼ変わっていないと思われる。
自分の場合は寝袋を持つ機会が皆無なので、2気室で運用する際はレインウェアと風呂道具を収納することになる。

1気室の場合、使わない仕切り部分がフロント側に垂れ下がる形となってしまい、ジッパーを開けると思いっ切り邪魔になる。1気室でもボトム側からアクセスしたい状況はあるので、仕切りは背中側に垂れ下がるようにして欲しかった。

内蔵レインカバー

既にレインカバーを持っているので必須要素というわけでもないが、ジャストフィットするカバーが標準装備されているのは、やはり嬉しい。

外部リザーバスリーブ

2016年モデルでは「外部ハイドレーションスリーブ」と記載されていた機能の置き換え。
ハイドレーションを入れておくポケットで、メイン荷室の背中側にあるのが一般的だが、本製品では荷室とバックパネルの間に配置され、外から直接アクセス出来るようになっている。
自分の場合は予備の水パックを収納するために使用しており、取り出すのは昼食時ぐらい。
その際は他の荷物 (クッカーやカップ麺等) もセットで取り出すのが基本なので、荷室を開けずに水パックだけを取り出す需要はほぼ無く、この機能の恩恵はあまり無い。

サイドジッパーからメインコンパートメントにアクセス

サイドから物を取り出すまでは良いのだが、荷重バランスが崩れると嫌なので、再度パッキングする際にはジッパーを閉じて、トップ側から詰め込み直すことが多い。
要らないとまでは言わないけど、個人的には38Lではあっても無くても良い機能だと感じている。

ジッパー式ヒップベルトポケット

オスプレーマークが左ポケットのみにプリントされているのは変わらずだが、上部の短いループは削除された。
容量はそこそこ。自分の場合は行動食とティッシュを入れておくぐらいなので、必要十分。

ストウオンザゴートレッキングポールアタッチメント

オスプレーザックの特徴の1つだが、自分は使用しておらず、以前のザックでは外してしまった。
そもそもポールを使う頻度が低いことと、岩場等ではここに括り付けても邪魔になることがあるため、多少手間でもフロントパネルポケットに収納する。

着脱式スリーピングパッドストラップ

2016年モデルから続投。
文字通り着脱式のはずなのだが、本当にそうなのか不安になるぐらい着脱しづらい。
自分の場合は寝袋を持って行かないので必死になって外してみたが、これはもう元の状態に戻せないんじゃないか?というレベル。

デュアルタックアウェイアイスツールアタッチメント

2016年モデルでは「アイスツールアタッチメント」と記載されていた機能の置き換え。
上側の固定方式がバンジーストラップから、上部サイドコンプレッションストラップで兼用する形に変更されている。
自分はアイスツールを使う機会が無いため、余計なパーツが減るのは歓迎。

デュアルフロントパネルデイジーチェーン

今のところ使う予定が無く、どちらかと言えば不要なパーツだが、枝に引っ掛けてしまう心配をするほど起き上がっているわけではないので、気にならない。

総括

元々オスプレーのザックが身体に合っていて、デザインさえ洗練されれば完璧なのにと思っていただけに、今回のモデルチェンジは個人的に刺さるアップデートと言える。
背負ってみると数字ほど大きな印象も無いので、日帰り山行でも問題無く使えそうだ。
逆に今の時点で唯一気になっているのは、上下のサイドコンプレッションストラップや雨蓋のストラップがかなり長いこと。ザックからストラップやループが垂れ下がっているのは個人的に好ましくない。

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