原色 北海道のきのこ その見分け方・食べ方 / 村田義一 著

自分が物心付いた頃には、既に自宅の本棚に収められていたキノコ図鑑。
多分、父親が買ってきたものだろうが、父親も母親もキノコを採る人ではないので、それほど熱心に読まれてはいなかったと思われる。
自分も特に興味があったわけではなかったはずで、何となく引っ張り出して読んでみたのが出会いだったんじゃないだろうか。
藤倉英幸さんという切り絵・貼り絵のイラストレーターが手掛けた、何とも優しく枯れた味のある素敵な表紙は、今でも記憶に焼き付いていた。

大人になってからも時折、「あの本、何という名前だったかな?」と思い出したりしていたんだけど、先日一念発起して検索してみたところ、村田義一さんの『原色 北海道のきのこ その見分け方・食べ方』という本だと判明。
初版は1977年と自分がこの世に生を受けるより前の著作であり、さすがに新品は出回っていないようだが、中古品なら手軽に入手出来ることが分かった。
早速注文し、改めて読み耽っているが、今でも十分に面白い。
内容的にはさすがに古いのだろうし、レイアウトも素っ気無いものだが、そういうこととはまた違ったベクトルの魅力が詰まっている。

この本で印象深かったのは、何と言っても毒キノコを誤食した際の症例だ。
ページの半分ぐらいが毒キノコだったように記憶していたのだが、再入手したものを確認したところ、実際には2割にも満たなかった。
振り仮名が付いていないので、幼少時に完全に読解出来ていたとは思えないが、毒キノコのインパクトがどれだけ大きかったかを物語っていると言えるだろう。

ちなみに小学校1年生の頃だが、家族や友達が次々にキノコになり襲い掛かってくるという悪夢を見たことを、今でも鮮明に憶えている。
…いや、これはどう考えても、内容的に『マタンゴ』のような気がするな。
幼少時にそれを観た記憶は無いけど、テレビ放映されたワンシーンをチラ見したのかも?
本書でキノコの妖しい魅力を植え付けられていたところに『マタンゴ』が来たとしたら、悪夢にうなされるのもあり得る話だ。