真夏の天王山 わんこそば対決

職場の先輩から「東白楽に関東唯一のわんこそば屋がある」と聞き、近々行こうと考えていたら、学生時代からの友人が「わんこそば企画やらない?」と言い出した。
聞けば、やはり俺が聞いていたのと同じ たち花 。(関東に1店しか無いのだから当然だが)
これが天啓というものかと驚きつつ、やはり暑い内にやってしまおうと話は進み、お盆休みに都内に残っている仲間内4人でチャレンジすることになった。

東白楽駅

14日の昼過ぎに渋谷に集合。
東横線の急行で菊菜まで行き、そこから各停に乗り換えて東白楽で下車。この駅に降りることは、後にも先にも今回だけなんじゃないだろうか。駅前にはドトール等の喫茶店はおろか、コンビニさえ見当たらない。
住宅街のようだから、多分少し離れたところに商店街でもあって、そちらが機能しているのだと思うが、それにしてもこの駅前の何も無さはどうしたものか…

予約時間より30分ほど早く到着してしまったので、近場の店に立ち寄って時間でも潰したいところだったのだが、先に書いた通り飲食店どころかコンビニさえ見当たらないような状況。仕方が無いので、近くにあるお寺を覗いてみることにする。
どうやらこの日は盆踊りが催される予定らしく、高台の境内には立派な櫓が設けられていた。しかしこのお寺、相当儲かっているのか、好展望の立地も含めてとにかく立派。

わんこそば たち花

時間になったのでお店に向かう。
今回の店はわんこそばの専門店というわけではなく、基本的には普通のそば屋として営業しつつ、オプションでわんこそばが食べられる。予約制だが時間制限は特に無く、1人2,625円。

我々の前にも似たようなグループが食べていたらしく、店の前で苦しそうにしていた。
店に入ると、一番奥の上りに通される。大の男が並んで座るには少々窮屈。テーブル席の方が胃の圧迫が少なくて有り難かったのだが仕方無い。

前掛けを渡され、薬味、天ぷらや刺身を盛った器などが並べられる。男性は100杯、女性は80杯食べれば記念品を贈呈とのこと。
全員わんこそば未経験なので、実際どの程度食べられるものなのか分からず、一昨年 日光で食べた自前のそば500gと比べてどうなのか、あれこれ思案。とりあえず、最初は100杯を目指して頑張ろうということに落ち着いた。
この状態でしばらく待たされる。

対決スタート

やがて、店のお給仕さんがそばを20杯ぐらい載せたお盆を手にして登場。
何杯食べたかは自分でカウント、5杯毎にテーブルに置かれた “おはじき” を1つ取る。100杯食べた時には20個のおはじきを手にしているということになる。
空の器を掲げればお給仕さんからそばが注がれるが、早く食べれば1人でどんどんリード出来るわけではなく、ある程度同じペースに揃えて順番に注ぐようになっているようだ。

時間を掛けると苦しくなるので、まずはスタートダッシュとばかりに勢いで杯を重ねる。
よく噛むと満腹中枢を刺激されるので極力噛まず、つゆを飲むと喉が渇くのでなるべく飲まないようにするのが理想だが、慌てて食べているとなかなかそういうわけにもいかない。
5杯で1つ取れるおはじきも、今自分が何杯目なのか、結構混乱する。

大体1人4杯ぐらい注ぐと、お給仕さんが次のそばを取りに厨房に戻るので、そのタイミングで刺身を食べたり、薬味を補充したりする。それ以外ではそばを食べる方に忙しくて、他に手を延ばす余裕が無い。
また、考えるまでもなく胃に重たい天ぷらに箸を付けるかどうかも判断が難しい。

何とか序盤の勢いをキープしつつ、全員で100杯のラインをクリア。
この辺りから、各人の反応がバラけ始める。途中で天ぷらに手を付け始めていた友人は、明らかに手が止まり、そばを食べるペースを1/4に落として天ぷらや刺身を食べ始めた。

1人が脱落すると、その分が他の3人に回ってくるのでキツくなる。
こちらもこちらでそれなりにペースが鈍りつつあるので、一度に運ばれてくる1人分の約4杯を何とか放り込み、お給仕さんが次のそばを取りに戻る間に何とかフラットな状態に戻すのだが、これが1杯多くなるだけで、途端に飲み込めないバランスになってしまう。
飲み込めないけどペースは落としづらいので、口に残っている内に次のそばを放り込み、噛まない方がいいと思いつつも、もう噛まないと飲み込めないという悪循環。

決着

150杯を数えたところで、そろそろ胃の具合と相談する。天ぷらや刺身を残して帰るのは屈辱なので、全てを綺麗に平らげてフィニッシュしたい。それを踏まえてあと何杯入るか、そして何杯食べれば1位になれるか考える。
俺は若干ペースが速かったので、まだ食べている他の2人より数杯先に進んでいる。2人とも限界が近付いている表情なので、ここから10杯以上の上積みは厳しいだろう。そう考えると、とりあえず160杯まで行けば1位にはなれそうだった。

という皮算用を経て、「俺は160でストップする」と宣言して残りの10杯を流し込む。
さすがに胃袋の悲鳴が聞こえてきそうだったが、何とかおかずも美味しく食べ終われた。後はもう、水ぐらいしか入らない。
2~3分も待てばまだ少し食べられそうな感じではあったけど、あそこでダメ押ししていたらしばらく動けなくなりそうだったので、腹9.8分目で終了。
友人達はそれぞれ155・150・120杯ということで、当初の目標である100杯は全員余裕でクリアしていたし、終わってみれば思ったよりハイレベルな接戦だった。

全員しばらく立ち上がれる状態ではなかったため、胃の中がこなれるまで小一時間待ってから店を出た。
その間に記念品が贈呈され、挑戦者名簿に自分が食べた数を記帳。我々が書いたページには既に30人ほどの先人の記録が載っていたが、その中のトップが162杯。俺は160杯だったので、あと2杯届かなかった。先人の記録は食べ終わってからじゃないと見られないので仕方無いが、あと2~3杯なら食べる余裕はあっただけに、少し悔いが残った。
ちなみに日本記録は561杯で女性らしい。まさに想像を絶する数字である。

解散

店を出たのが15時前。まだ日も高い時間だ。
いつもならここから何か別のイベントにハシゴするところだが、さすがにこれ以上食べることも、派手に動くことも出来ず、この日は大人しく家で飲み明かして終了した。

再挑戦したいかと訊かれても、正直今のところもういいかなといった感じだけど、とりあえず長年気になっていたイベントの1つが実現出来て満足だった。
あまり年を重ねてからでは自分の老いに打ちのめされる結果しか望めないので、まだ少しは若いつもりで挑める今の内に行っておくべきイベントなのは間違い無い。
東北まで行く余裕は無いけど、気になっていたという方は是非!

それにしても 2009年の手打ちそば体験 と言い、今回と言い、我々のそば企画は何故大食い方向に進んでしまうのか…