▲ 強風の大人遠足 – 丸岳 (1,156m)

相方と相方の妹さんと相方の妹さんの同僚と相方の同僚と相方の同僚の友人と自分と友人 (hikaru) の計7人で、箱根の丸山に登った。相方とhikaru以外とは今回初めて一緒に登るし、相方と妹さんとhikaru以外とは当日初めて顔合わせするという、自分にとっては普段あまり無いタイプのイベント。
半数以上の体力・技術・装備が詳しく分からない状態なので、とにかく計画が難しい。

7人中3人が女性で、かつ登山経験が片手未満という情報から、過酷なコースは厳しそう。
一方で若くてスポーツに親しんでいる20代、登山経験がそこそこある20代も参加するとのことで、遠足レベルでは物足りない可能性もある。

丸岳は箱根外輪山の1つで、正直、あまり有名とは言えない地味な山だ。候補に困って登山ではなくハイキング系のガイド本を引っ繰り返し、初めて存在を知った。
地理的には 以前に登った金時山 の南、金時山から下山した乙女峠を登り返した位置にある。バス停から1時間強登れば山頂に立つことが出来、以降は尾根道が続くので展望は良さげ。天気が良ければ富士山と芦ノ湖の展望が期待出来る。
トレッキングとしては食い足りないが、他の要素はまずまず高水準でバランスが取れているようだ。

乙女口バス停 → 乙女口

当日は雲があるもののそれなりに晴天で、風が若干強めの天候。稜線伝いのコースだと風は気になるが、まずまず恵まれたコンディションと言える。
8時半に小田原駅のホームで集合し、箱根登山鉄道で箱根湯本に向かう。湯本からバスで30分弱の乙女口バス停が今回の出発地点で、車道歩き無しで山道に入れるのが良いところだが、近くにトイレなどは無い。

乙女口を使う人はそこまで多くないようだが、コースはそこそこ整備されており、危険な箇所や迷い易い箇所は無いし、傾斜も緩め。強いて言えば、乙女峠までは雨後に滑り易そうなぐらいか。

11時前に乙女峠。ここは金時山からの下山に使った場所だ。
富士山をバックに写真が撮れる展望櫓が設置されているせいか賑わっているが、山に登るなら上に幾らでもビューポイントがあるので、観光客用のポイントだろう。傍らの乙女茶屋は数年前に廃業し、現在は廃墟として朽ちつつある。

丸山

乙女峠からは尾根伝いの緩やかな上り。
足場がとにかく綺麗なので、ハイキングコースとしてはこの上無い歩き易さである。両脇の木々もまだ葉を付けていないため、比較的展望が得られて気分良く歩ける。
時折、遠くで「ドーン」という音がしていたので何だろうと訝しんでいたのだが、よくよく考えると、富士山麓の自衛隊演習場から聞こえているようだ。

乙女峠から30分で丸岳山頂に到着。
直前に強烈な急坂がある…わけでもなく、拍子抜けするぐらいあっさり山頂に立てる。
麓からも見える巨大な無線中継所が鎮座しているが、視界を遮るような形ではないので、思ったよりも気にならなかった。山頂にはベンチとテーブルが2セット設置され、芦ノ湖方面の展望が素晴らしい。
手前にゴルフコースがのたうつ奇怪な光景だが、たまにはこういうのも面白い。

山頂で一気に風が強くなったため、ベンチでの昼食を諦め、中継所手前の原っぱに戻って食べることにする。
原っぱからは富士山が正面に見えるはずなのだが、既に雲に覆われてしまい、裾野が辛うじて見えるかどうかぐらいになってしまっていた。残念。
こちらもそれなりに風が強いが、山頂よりは随分マシだ。

今回は事前に連携が取れず、それぞれが独自で食べ物を持ち寄った結果、不揃いながらもバラエティ色豊かなランチタイムとなった。自分は今回も謹製ベーコンを持参。大勢でわさわさと広げて慌ただしく食べ始めてしまったため、写真を撮り損ねてしまった。

富士見台

陽が出ていれば暖かいが、依然として風は強く、散り散りの雲で陰ることもしばしば。陰ると途端に寒さが襲ってくるため、あまりのんびりしている余裕が無い状況。タイムスケジュール的にも押し気味だったので、昼食後はそそくさと撤収。

山頂を通って、更に南下。しばらくは尾根歩きが続く。笹は場所によっては3メートルぐらいあって視界を遮っていたりもするが、道幅が広く、ほぼ直線なので、あまり窮屈な印象は無い。
この日に関して言えば、むしろ風防として機能してくれたので有り難い一面も。

山頂から20分ほどで、富士見台。
乙女峠と同じ櫓が置かれているが、こちらは老朽化して使用禁止になっている。今年の地図でも「展望櫓から富士山を一望」とあるので、最近使えなくなったのだろうか。
芦ノ湖方面は台を使わずとも見えるポイントが幾らでもあるし、展望地としては微妙。

富士見公園 (=富士見ヶ丘公園?)

長尾峠からは “長尾峠登り口” と富士見公園への分岐がある。
最終目的地を芦ノ湖・桃源台とした場合、前者はすぐに下山して下道を長く歩くコース、後者は稜線を歩いて最後に一気に下るコースになっている。
後者はアップダウンがあるのでコースタイムとしては長くなるが、道の状態は良く、芦ノ湖に向かって下りる展望も楽しめるので、時間と体力に余裕があれば、こちらをオススメしたい。

箱根スカイラインと並走しながら、13時に富士見ヶ丘公園に到着。
山と高原地図では富士見公園と書かれた場所はあるが、富士見ヶ丘公園は記載されていない。逆に富士見公園という指導標も見当たらず、富士見公園=富士見ヶ丘公園なのか、富士見公園というエリアの中に富士見ヶ丘公園というポイントが内包されているのか…
これで特に困ることがあるわけではないけど、何となく腑に落ちない感じではある。
富士山はすっかり雲隠れを決め込んでいて見えそうになかったが、振り返ると丸岳から連なる稜線が綺麗に見渡せるので、なかなかに感慨深い。

芦ノ湖へ下山

公園からは小ピークを経由後、芦ノ湖に向かって一気に下る。特に危険ではないのだが、上るのは嫌だなと思う程度にはキツい勾配が最初に待っている。以降は特に特徴的な箇所も無く、しばらくしてゴルフ場の脇に出る。登山道はこれで終わり。
車道を挟んですぐが芦ノ湖で、丁度 “湖尻水門” がある。少し湖畔をなぞりつつ、そのままキャンプ場を突っ切ればケーブルカーの桃源台駅が見えてくる。

キャンプ場はオフシーズンなので人の気配はあまり無かったが、代わりに小さな虫の大群が発生していた。蚊のような見た目の虫がそこらじゅうに湧いており、服やザックにくっ付いてくるので鬱陶しい。
木の手入れをしていた地元の方に尋ねたところ、”ウンカ (浮塵子)” と呼ばれる蚊の一種とのこと。血を吸わないので通り過ぎるだけなら実害は無いそうだが、「琵琶湖のウンカは5倍ぐらい大きい」らしい。芦ノ湖のウンカは1cm弱なので、4cmぐらいあるってことか? うえぇ…
ウンカってのは特定の種を指す名称ではなく、広義の俗称として用いられているようだ。
後で思い出したのだが、八ヶ岳山頂で2~3cmのユスリカが大量発生していた ことがあって、
どうやら芦ノ湖のそれもユスリカのようだ。

芦ノ湖 一ノ湯

桃源台の駅前をスルーして、本日の入浴施設である姥子温泉 芦ノ湖 一の湯 へ。
一の湯は直線距離だと目と鼻の先なのに、実際には車道をUターン状に巻いていかなければならない。ショートカット出来そうな山道を見付けて挑んでみたら全然ダメで、獣道を突っ切って何とか温泉に到着。

一の湯は立ち寄りの場合、それぞれ内湯のみで定員6人程度の大浴場と4人程度の中浴場という構成。入浴施設として見ると地味な温泉だが、流石に元箱根エリアだけあって泉質はなかなか。
帰りは大人しく車道を巻いて帰ろうと思ったら、途中で普通に抜けられる駐車場があった。


桃源台バス停に戻ると丁度バスが出るところで、待ち時間無しでスムーズに出発。混んでいて座れなければ箱根湯本で下車しようと思っていたけど、後部座席を広々と陣取れたので、みんなで爆睡しながら小田原まで直行。
あとは小田急線で下北や新宿まで1本なので、これ以上無いぐらい快適に帰宅出来た。

今回は集合するまで参加者の状態が把握し切れなかったため、当日判明したグループとしての総合力に対するベストチョイスとは言い切れない。しかし、想定よりも総合力が低かった場合で不測の事態への対応まで考えると、現実的な範囲内でそこそこフィットするところに落とし込めたように思う。
そして、改めて陣馬山の安定感に敬服。

DATA

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