▲ 一番好きな低山ルート – 毛無山・十二ヶ岳・鬼ヶ岳 (1,738m)

関東圏の低山で個人的に一番好きなのが、毛無山~十二ヶ岳~鬼ヶ岳というルートで、元マタギという経歴のタクシー運転手さんに勧められて、4年前に登ったら感動した 。
東京からだとアクセスがそこそこ手間で、コースタイムもそこそこ長いので、誰にでも気軽にオススメ出来るというわけでは無いのだが、それに見合う楽しさがある。
前回は夏の終わりだったので、今回は梅雨目前のこの時季に登ってみることにした。

富士急行 河口湖駅 → 毛無山登山口バス停

河口湖駅から毛無山登山口まで出ている レトロバス の始発が9時10分なので、基本的にはそれに合わせてタイムスケジュールを組む必要がある。
久我山からは6時2分の井の頭線に乗り、吉祥寺・立川・大月と中央 (本) 線を乗り継ぐ。大月からは富士急行に乗り換えるのだが、未だにIC化されておらず、券売機で渋滞する。

8時34分に河口湖駅に到着。
ここから乗るレトロバスは河口湖周遊と西湖・青木ヶ原周遊の2路線あり、西湖方面は若干マイナーなため、前回はそれほど混むことも無かったので楽に座れたが、富士山が世界遺産登録された影響か、今回は比較的早い段階でバス停に列が出来上がっていた。
レトロバスは乗車定員が少ないので、座席を確保するなら早めに並んでおく必要がある。

河口湖駅から20分強の毛無山登山口バス停で下車。ここで降りたのは、自分の他に5名ぐらい。それほど多いわけでもないけど、前回は他に1人しか居なかったので、これでも多いと言える。

毛無山

文化洞トンネルの左手にある登山口から入り、トンネルの上を跨ぐようにして右手の斜面を登る。毛無山の登山道は道幅が広く均されていて歩き易いが、最初から勾配がキツめ。ペース配分に気を付けないと、序盤でバテる恐れがあるので注意したい。

先の方で元気な声が聞こえているなと思っていたら、中学生の遠足登山が行われていた。100人近い規模で登っているらしく、追い抜いても追い抜いても中学生だらけ… (笑)
元気で、みんなしっかり挨拶する良い子達ばかりだったけど、やはりグループを抜こうとするとペースを上げる必要があり、それが延々続くので非常にシンドイ。
自分の年齢の半分にも満たない子達の前で情けない姿を晒したくないという意地もあり、本来のペース以上に頑張ってしまって息が切れ切れだった。

最初の1時間弱は見晴らしの無い急勾配が続くが、それを過ぎれば一気に開けたカヤトになり、更に5分も登れば、ツツジが満開の毛無山山頂に到着する。富士山方面の展望が素晴らしい。中学生グループからはかなり距離を離したため、2~3人しか人が居らず、まだ静か。
今日の暑さで若干モヤッとした展望になってしまっているのは惜しいが、それでもほとんど雲1つ無いと言っていいぐらいの快晴に恵まれた。

十二ヶ岳

まだまだ先が長いので、騒がしくなる前に毛無山を出発する。
ここからは毛無山を下ると言うより、そのままダイレクトに十二ヶ岳を登り始める感じで、山頂で出会った人曰く「関東の2,000以下という条件下では2番目に険しいコース」らしい。1番目がどこなのか訊き忘れたのが悔やまれるが、確かにそうかもしれない。

十二ヶ岳はその名の通り12個のピークが特徴の一風変わった山で、毛無山方面から歩くと一ヶ岳・二ヶ岳…と順にカウントしていくことが出来る。細かくアップダウンを繰り返すので上り一辺倒にならず、岩場・ロープ場が目まぐるしく変化する稜線の道は、飽きが来ない抜群のアスレチックコースだ。
コース上は常にツツジが目を楽しませてくれるし、所々で富士山も姿を見せる。

十ヶ岳以降のアスレチックコース

十ヶ岳を過ぎる頃から岩場のアスレチック度が上がり、十一ヶ岳の下りからがこの山の真骨頂。
十一ヶ岳と十二ヶ岳の間には小さなキレットがあって、ここには吊り橋が設けられている。まずはこの吊り橋に向けて、長めのロープ場を下りなくてはならない。
高低差はそれなりにあるものの、不安定な箇所は無いので、慎重に下りていけば不安は少ない。
この時、向かいの十二ヶ岳の斜面に断崖と言いたくなるような岩肌が見えており、初めて見る際はそのインパクトに息を飲むことになるだろう。

金属製の吊り橋。
それほど高い位置に架かっているわけではないが、パッと見では結構怖い。実際はかなり頑丈なようで、若干揺れはするものの、特に危険は無いと思われる。

吊り橋を渡ったら、いよいよ先程見えていた断崖に取り付く。
実際のところ、取り付いてしまえば見えるのは眼前の岩だけになってしまうので、十一ヶ岳側から見えていたような高度感というのは、案外気にならなかったりする。
足元が切れ落ちているような箇所はほとんど無く、1ミスで谷底に落下という不安は少ない。怖いもの見たさで振り返って覗き込んだりしない限り、高所恐怖症気味の自分でも大丈夫だ。
ちなみに各所にロープか鎖が設けられているが、個人的には使わない方が安定する。(勿論、手足のリーチや腕力にも依る)

それなりの難所で、命の危険も当然あるので気を抜くことは許されないが、この山の魅力を象徴するポイントであることも確か。焦らず少しずつ、全身でよじ登る楽しさを感じてみてほしい。

十二ヶ岳 山頂

断崖を上って少し進むと、木立に囲まれた広めの空間に出る。
展望の点では今ひとつな場所だが、少しの先の山頂があまり広くないため、団体客などで混雑する際に活用される。この日も既に20人ぐらいが大休止しているようだった。

毛無山から1時間強で十二ヶ岳山頂に到着。ここからの展望も見事。それなりに人は居たが、座るスペースは確保出来たので昼食にする。


十二ヶ岳を12時半過ぎに出発。実はこの山頂直下が本コース一番の難所。体感で70~80度、かなりの落差の傾斜をロープ2本を頼りに滑り降りる。

足元が見えないような断崖を下りなければならないので、恐怖感は毛無山側の断崖を上回る。毛無山側と違い、こちらは斜面に身体を預け難いので、ロープを使わないと危険。幸い、岩場の足掛かりは良いので、慎重にじっくりと足場を探せば大丈夫。
上るときはハイになって勢いで乗り切ったものの、この下りで足が竦んだ人は少なくないはず。

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