▲ 滑り込み山小屋泊 – 蛭ヶ岳 (1,673m)

蛭ヶ岳

蛭ヶ岳直前の尾根道は急なガレ場・鎖場が多く、暗くなってからでは危ない。
我々はちょこちょこと写真を撮り進むために行軍速度が遅いので、そこそこ急がないと途中で日が暮れてしまう。そんなこんなで微妙に慌てつつ、蛭ヶ岳山荘に到着したのは16時25分だった。

受付を済ませ、自分達のスペースに荷物を置く。
この日の山荘は超満員で、70人の定員に対して80人近くの人が宿泊していたらしい。1人辺りの就寝スペースは、畳1畳分も無い。

日没が近かったので、休憩もほどほどに外に出る。
小屋に向かう時から思っていたのだが、どうも夕日が富士山の頂上に沈んでいくような印象。どうやらその日は夕日が丁度富士山頂に沈むダイヤモンド富士と呼ばれる日であるらしく、それが定員オーバーという混雑振りの原因のようだった。

この日は雲の多さが災いしてダイヤモンドに相応しい光彩は拝めなかったのだが、全く事前情報を仕入れていなかった我々にとっては、富士山頂に夕日が沈むというだけでも、長旅の疲れを癒す十分なサプライズと言えた。

ちなみにダイヤモンド富士を見られるのは朝日と夕日の年2回だけであり、しかもそれが連休に重なるというのは貴重なタイミングだったようだ。感謝。

去年の雲取山では夕飯も自炊したけど、今回は山小屋食のおでん。夜の気温は5度ぐらいまで冷え込むので、暖かいものが身体に染みる。

夕食を済ませて外に出ると、東側一面に見事な夜景。横須賀・横浜に東京の夜景まで見えているらしい。山小屋のご主人曰く「今日の夜景は素晴らしい」とのこと。
お湯を沸かしてコーヒーを淹れ、ウィスキーを加えて、夜景を眺めつつアイリッシュコーヒーを堪能。

20時に消灯で就寝。山小屋の夜は早い。
混雑のため、今までの山小屋に比べると環境は微妙だけど、疲れ切っていると、もう寝られるだけで最高。ストーブによる乾燥をマスクで、鼾を耳栓でシャットアウトして快眠。

2日目

4時45分に起床。5時から先頭で朝食を摂り、完全防寒状態で陽が昇る前の外に出る。
この日はここ数日に比べるとかなり暖かい朝だったらしいけど、それでもかなり寒いので、他の人達は日の出直前に観に来るようだ。
自分は個人的に日の出より少し早い、まだ薄暗い時間の空が一番好きで、刻一刻と変化していく様を、静かにじっと見ているのがいいのである。

この日はずっと雲が厚く、朝焼けが見えたのはほんの2~3分。俺はずっと外に居たため、運良くその一瞬を見ることが出来た。天候の都合、朝日を観るのはほとんど諦めていたので、一瞬でも見えたのは本当にラッキーだった。

丹沢主脈~東海自然歩道

6時半に山頂を出発。今日はここから更に北上して、相模原方面に抜ける。一応、幾つかの山を縦走する形ではあるが、基本的にはほぼ下り一辺倒となる。
相変わらず雲は多いものの、富士山などは綺麗に見渡すことが出来て快適。特に長居するような場所も無いので、休憩は最低限に留めてひたすら下山。

行軍の途中、牡鹿と雌鹿がそれぞれ1匹ずつ、目の前を駆け抜けていった。この辺りでは最近、鹿が増え過ぎて対策に追われているらしいのだが、こんなあっさりと遭遇するぐらいなので、確かに相当な数が生息しているのかもしれない。

当初の予定より1時間近く早い11時半に無事下山。
バスの時間までかなりあったので、途中までタクシーで移動してバスに乗り継ぎ、13時前には橋本駅に到着。
駅ビルで昼食を摂ってから、徒歩圏内の温泉施設でお湯に浸かり、16時で解散。


2日を通して雨の心配が一切無く、意図せずダイヤモンド富士に出会えたり、夜景もしっかり見ることが出来て満足の山行だった。紅葉は始まっているものの、本格的な見頃はあと1~2週先ぐらいと思われる。

これで一昨年から続く一泊系登山に関しては、富士山・富士山・八ヶ岳・雲取山・富士山・蛭ヶ岳と、一滴の雨にも遭わずで無傷の快晴6連勝。(若干の曇りも今回の1回のみ)
こういうのは運の問題なので、必ずいつかはストップするのだけど、天候の変化が激しい企画としては非常に恵まれていると言っていいだろう。

本年度の山企画もいよいよ終盤。今月中にあと一度だけ軽めの山に登り、年内は登り納めとする予定。長年連れ添った登山靴もそろそろガタが来ているし、次で1つの区切りになるんじゃないかと思っている。