連休中日の日曜に乾徳山に登ろうと意気込んで予定を立て、何だかんだとバタバタした結果、最終的に土曜に 高柄山 に登ることになった。
それはそれでなかなか充実していて楽しかったのだが、しばらく前から「乾徳山!」と鼻息を荒くして待ち望んでいたこともあり、折角の3連休にこれ1つでは上がったテンションが静まらない。
月曜1日休めるんだし、多少無茶しても大丈夫だろうということで、急遽にして当初の計画通り、日曜に乾徳山を目指すことにした。
先週の予報で「連休中は雨の心配が無い行楽日和」だと言っていたのに、朝4時半起床の時点で、川崎方面の友人から「雨が降っている」との連絡が入った。久我山は大丈夫だが、降水マップを確認すると、局地的にかなりの雨が降っているらしい。
広域的には降りそうにないことを確かめて、改めて決行を宣言。
JR 塩山駅 → 乾徳山登山口バス停
乾徳山の登山口へは、中央本線の塩山駅からバスを利用する。
このバスの始発が8時10分なので、それに合わせたスケジューリングが必要。久我山は5時前から電車が動いているが、上記を踏まえると5時半の電車に乗れば良い。6時過ぎに八王子のホームで友人と合流し、中央本線で塩山に8時少し前に到着。
塩山は 大菩薩嶺 からの帰りなどに利用しているため、それなりに馴染みのある駅。心配された雨もやはり限定的なものだったらしく、こちらはスッキリとした快晴。
ここからのバスは秋川渓谷への利用客も乗せるので、そこそこ混雑が予想される。足早にバス停を目指し、何とか座席を確保出来る順番で並ぶことが出来た。
8時10分の始発が5分遅れで出発し、30分で乾徳山登山口に到着。満員のバスからは、大体半数程度の客が降りたようだ。
さすがにメジャーな山、メジャーな登山口に最寄りのバス停だけあり、周辺には自販機、綺麗なトイレ、そして小さな食堂が幾つかある。ここで準備を整え、まずは登山口目指して舗装路歩きをスタート。
この辺りはイワナやヤマメの養殖が盛んなようで、釣り堀や民宿が立ち並んでいる。幾らか人の手が入っているものの、川の流れも非常に綺麗で気持ちがいい。
乾徳山登山口
バス停から30分弱で、乾徳山登山口の目立つ看板が現れる。
ここで舗装路~砂利道が終わって、いよいよ登山道がスタート。乾徳山の登山道は道幅が広く、よく均されていて非常に歩き易い。これだけでも、人気の山であることがよく分かる。さすが百名山。
勾配はそれなりにあり、前半は一定の傾斜を歩き続けることになるが、しっかりつづら折りになっているコースなので、極端な疲労は無い。歩こうと思えばどんどん歩けてしまうし、明確な休憩ポイントが少ないので、自分でしっかりペース配分をしないと、気が付いたらバテている可能性もある。逆にその辺の管理がしっかり出来るなら、非常に不安要素の少ない道だと言える。
錦晶水と銀晶水
登山口から1時間で錦晶水に到着。名前通りの湧水が出ているので、冷たい水の補給が出来る。しばらく手前に銀晶水もあったらしいのだが、残念ながら見付けられなかった。
この辺りから木々の間隔が広くなり、植生も変化して期待が高まる。
錦晶水から10分も歩くと一気に視界が広がる国師ヶ原に出て、ぼっかりと拓けた扇平、そして岩肌剥き出しの乾徳山山頂が姿を見せる。
登山口からしばらくはそれらしい景色を見ずにひたすら登り続けて来ているだけに、この展開にハートを掴まれることは間違いない。来て良かったと思える瞬間だ。
扇平
分かり易いご褒美を与えられ、目前に魅力的な餌をぶら下げられたので、従順に20分ほどの直登を駆け上がって、一気に扇平。下から見上げた瞬間に確信していたけど、想像以上に開放的なススキの草原と、これまたキャッチーな月見岩に迎えられて感無量。
思わず、昼食用のおにぎりを取り出して頬張ってしまった。
山頂直前の岩登り
登山口を過ぎてから、ここまでで1時間半。感覚的にはもっと長く歩いているような気がするけど、意外と経っていない。正直なところ、昨日からの足の疲れはそれなりに出て来ているが、それ以上にテンションが上がってしまっているので、この分なら大丈夫そうだ。
コースタイムから計算すると、残すは1/3ちょっとぐらい。ここからはいよいよ、あのゴツゴツとした岩場に取り付いていくことになる。
最初のしばらくは、木に覆われた岩場の道をよじ登っていく。勾配はそこそこあるが、ここまでのジワジワと長い道より勢いで登れるため、気分的にはむしろ楽になった気がする。
20分ほどガシガシ登って狭い岩と岩の間を抜けると、突如眼下に絶景が出現。これはもう、思わず笑ってしまうぐらいの解放感。富士山も頭だけ見える。
足場は広くしっかりしているので、強風とかが無い限り転落の心配は無いけど、高所恐怖症の人にはこの時点でもかなりシンドイかもしれない。俺はもう、感覚が麻痺しちゃっててよく分からなかった。
そして、乾徳山はここからの岩壁登りこそが醍醐味。雄大な景色をバックに、3つの岩場を鎖でよじ登っていく。
1つ目の岩は傾斜が緩めで足掛かりも良く、鎖を使わない方が楽に上れる。鎖場は1人ずつ通るのが基本なので、人が多いとどうしても渋滞が発生してしまう。こういう岩場に慣れていない人も多いようで、やはり渋滞していた。
2つ目の岩場は1つ目よりも急で、岩が丸く滑り易いので多少注意が必要。鎖は2本あるが、右側の方が格段に登り易い。
最後の岩場は空気を読んで、ラスボスに相応しい迫力を誇る。実は迂回路が用意されているので、1・2の岩場で不安を感じるようなら、そちらを使う選択肢も検討した方が良いかもしれない。
とは言え、初挑戦&高齢の女性という条件でも何とかなるレベルなので、折角ここまで来ていることだし、余力があるなら是非とも挑んでもらいたい。自分も写真で見た時は少なからずビビったが、実際にその場に立ってしまえば、あとはもう勢いで何とかなってしまうものだったりする。
高さとしては断トツだが、実は前の2つよりも滑り難い岩質なので、足場さえしっかり確保すれば、滑り落ちる心配はほとんど無い。男なら腕力と歩幅だけで強引によじ登ることも可能だ。
子供や女性の場合、中盤からの足の運びで少し慎重になる必要はあるが、腕力だけで自重を支え続けなければならない箇所は無いので、そこで変に下を覗いたりして竦んでしまわなければ大丈夫だろう。
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