相方が週末中不在となるため、その間を利用して自身初の2泊山行を計画。前々から行きたいと思っていた甲武信ヶ岳とセットに出来る、金峰山に登ることにした。
2泊となると誘えるメンバーが居ないので、3年振りの単独山泊となる。
長丁場の場合、やはり普段以上に気になるのが天気。ここ数日で急激に気温が下がり、秋から冬の気配が感じられる日が増えつつある。
予報では1日目が晴れ時々曇り、2日目が曇り一時雨、3日目が曇り時々晴れ。確認するタイミングによって若干の動きはあるが、2日目の降水は確実なようだ。
泊まりの山行なら雨は付き物なので、多少降られるぐらいは仕方が無いと思いつつ、一番条件が厳しい2日目に降られるというのが若干の懸念材料。山頂付近は朝晩氷点下になるようだし、防寒具と雨具はいつも以上に準備が必要。
水を2.6L、食料は5食分、クッカー、エマージェンシーブランケット、防水デジカメ、着替え、軽アイゼンなどなどを詰め込んで、最終的に40Lのザックがパンパンの状態。
今回は重くなってもフルパッケージで持って行こうと思っていたので、若干不安を感じつつも初志貫徹で決行することにした。
みずがき山荘
1日目の朝の天候は、曇り時々晴れ。出発した5時の時点では日の出まで1時間早いので、まだ暗く、そして寒い。5時半に久我山を出て吉祥寺で中央線、八王子から中央本線に乗り換え、8時半に韮崎駅に到着。
ここからバスで みずがき山荘 に向かうのだが、停留所にそれらしき行先の表示が無い。よく見ると、臨時便的な扱いの貼り紙があって、そこに「みずがき山荘」の文字があった。初見では分かりづらく、交番で確認しているグループも居たぐらいなので、若干注意が必要。
車窓から見える渓谷沿いの道は、巨岩と紅葉に彩られていて飽きが来ない。
8:50のバスに乗り、終点のみずがき山荘に10:05の到着。ここからは山荘の名前の通りに瑞牆山と、その先の金峰山に登ることが出来る。
バスを降りたのは10人強だったが、どうやら自分が乗ったのは増発便で、1本前に出たバスもここに着いているはずなので、トータルではもう少し多いと思われる。紅葉最中の百名山としては、想像より人が少ないかなという印象。
山荘付近の紅葉は大分終わり掛けていて、足元には落ち葉が敷かれていた。
瑞牆山と金峰山は山荘から1時間の富士見平まで同じルートを歩くことになるので、ひとまず下車した全員が同じ方向に進むのだけど、金峰山を目指すのが何人なのかはまだ不明。4人パーティーが2組、3人パーティーが1組、単独が自分ともう1人といった状況のようだ。
山荘からの道は広くて勾配が緩く、均されているので非常に歩き易い。トレッキングと言うよりはハイキングに近い感覚でスタート出来るので快適なのだが、実はこの時点で荷物の重さに一抹の不安が過っていた。
いつもなら腰でホールドすればほとんど重さを感じなくなるはずが、今回はかなりの割合で直接腿の付け根に伸し掛かってくるような感覚がある。沖縄で同じザックを背負った時には無かった感覚なので、恐らく重量によるものだろう。当然覚悟はしていたけど、いざ登り始めると結構ズッシリと来て一歩一歩が堪えた。
林道を跨いでしばらく登ると、やがて木々の間から瑞牆山のダイナミックな山容が現れる。奥多摩や丹沢では見られない”岩の塊”といった風貌である。
富士見平小屋
みずがき山荘から1時間弱で 富士見平小屋 に到着。
小屋自体にも泊まることが出来るし、前には広々としたテント場が設けられている。この少し手前には水場もあるので、テント場としての使い勝手はなかなか良さそうだ。先のことを考えると、ここで一息ついている場合ではないので、水だけ飲んですぐに出発。
瑞牆山と金峰山にはここから分岐していて、指導標によれば瑞牆山まで1時間50分、金峰山まで3時間30分となっている。自分が訪れたタイミングでは、瑞牆山に向かう人の方が若干多かったようだ。
富士見平以降の道も非常に安定していて歩き易い。強いて言えばところどころに泥濘があるが、ほとんどは避けて通れる程度のもの。展望はあまり得られないのだが、道が広いので視界が良く、気分の良いコースだ。この辺りは白樺やミズナラが多く、紅葉とマッチしてとても美しい。
身体が温まっているのでそれほど寒さも感じないし、あとはひたすら重さとの戦い。
大日岩
富士見平を発って40分、12時より少し手前で大日岩を見上げる大日小屋に到着。無人小屋なので、小屋自体はスルーして広場で小休止。持参したおにぎりを頬張る。
大日岩をはじめ、鷹見岩や小川山といった、岩峰を間近に見ながら一息つく。
フリークライミングのメッカとなっているだけあって、荒々しいものから穏やかなものまで、クライマーじゃなくとも見入ってしまうような岩肌がズラリと並ぶエリアだ。
大日小屋以降は若干の岩場を跨ぎつつの樹林歩きを再開。
ここまでは緩やかながらも上り一辺倒だったが、この先は若干の下りも混ざるようになる。時折”霜柱”が見られるようになり、朝晩の冷え込みが容易に想像出来る。
今回唯一のロープ場があるけど、あくまで補助的に使う程度なので難しいことはない。
小川山と金峰山との分岐点。
小川山もかなり魅力的なんだけど、「山頂まで3時間」となるとさすがに厳しい。ここに登るなら、前泊して早朝出発とかしないと間に合わないだろう。
この辺りから、コース上にもゴロゴロとした岩や石が混ざり始める。荷物の重さにもようやく慣れて、何とかコースタイムよりは早めに進めているようだ。
砂払いノ頭
ようやく辿り着いた岩だらけの稜線、砂払いノ頭。
ここまではあまり風の無い、穏やかな日だと思って登っていたが、稜線に出た途端、強い南風が吹き荒んでいた。ガスというか雲というか、そういったものが次々と眼前を吹き抜けてゆく。
この稜線は南側の斜面が切れ落ちた絶壁となっているため、北側から登っている分には風除けの役目を果たしてくれる代わりに、一度稜線に立てば凄まじい吹き上げを受ける形となっているようだった。
木々に覆われていた静かな山歩きから一転、強風が吹き荒れる岩稜を渡り歩く。晴れているわけではないけど、標高が高い分、眼下の山々は広く見渡すことが出来る。
あまりの強風に時折煽られそうになるが、見た目よりは歩くスペースが確保されているので、1つのミスで滑落という危険は少ないのが有り難い。
若干頼りない木ハシゴが架けられている岩場もあるが、特に問題は無いだろう。
砂払いノ頭から30分で金峰山山頂と金峰山小屋への分岐に到着。山頂は雲に覆われて風が轟々と音を立てているし、とても展望どころではなさそうだ。山頂から下りてきた人達に尋ねてみても、一様に「どうにもならん」と口を揃える状況。
実はここまで抜きつ抜かれつで時折談笑しながら一緒に登っていた軽装の3人組が居て、彼等は富士見平でキャンプなので山頂から折り返すつもりで登ってきたらしいのだが、山頂は諦めてここで引き返すとのことだった。
コメントを残す