▲ 遅い春を迎えに – 矢倉岳 (780m)

この時季は季節柄の予定を色々考えるのだが、今年は長引く寒さによって後ろ倒しになり、このところやたら週末狙いで降る雨の影響もあって、なかなか遠出が出来ずに居る。
やっと快晴が確約されそうな日曜の予定がポッカリ空いていたので、前夜に相方と協議して、急遽昨年から保留していた低山ハイクに踏み切った。

今回登ることにしたのは、箱根の矢倉岳。去年の同時期に登った 大野山金時山明神ヶ岳 に近い山である。
バス停から1時間半で登れる気軽さ、標高の割に展望が良さそうなこと、そして以前に1人で行こうと下調べを済ませていたことが決め手。
あと、前々日~前日の昼過ぎまで雨が降っていたので、往路が東側で少しでも乾いていることを期待したいうのも少なからずある。

矢倉岳

久我山を7時過ぎの電車に乗り、下北で小田急線に乗り換えて小田原、そして箱根鉄道で大雄山。そこからバスで20分の矢倉沢バス停がスタート地点。
我々の他にはカメラを担いだ男性が1人と、年配のご夫婦と女子大生3人というグループだけ。今回はこの時点で9時半過ぎといつもより遅めに来ているので、もう少し早い時間帯であれば、もっと多くの登山客が居るのかもしれない。

バス停から満開の梅や茶畑、ミカン畑を見つつ、若干の舗装路歩き。神社の下でヤギが飼育されていたり、里山として理想的な長閑さ。
雲がほとんど無いぐらいの見事な快晴で、ちょっと歩くと汗を掻くぐらい暖かい。
登山道まではそこそこ頻繁にコースを示す案内板が出ているが、どちらからでも大丈夫そうな分岐等には設置されていない場合もあるので、一応それなりに地図を確認しながら歩く方が安心ではある。

矢倉沢コース

バス停から30分弱でイノシシ避けの扉を抜けて、登山道に入る。道が整備されていて歩き易く、ほぼ一本道なので道迷いの心配も無い。
視界が開けているので、登り始めて30分もすると小田原方面の展望が楽しめる。但し、この手の山としては序盤の傾斜がそれなりにある方なので、まだ疲れていないからと言って調子に乗っていると、案外バテる可能性がある。

後半はほとんど真っ直ぐな斜面を登るようになる。大きくつづら折りになっておらず、道の穏やかな印象の割に、斜度はそこそこある。足場は引き続きしっかり安定しているので、細かく休憩を挟みながら登るのが良いだろう。

矢倉岳 山頂

木の階段を越えてもう一上りすると、突然一気に開けた山頂に到着する。
コースタイムより若干遅めの1時間45分。男性だけでストイックに登れば1時間強のコースだけど、こういう低山はのんびり写真でも撮りながらダラダラ登るのもまた一興。

今回のコースは山頂まで正面の景色が見えるポイントが一切無いため、登頂するまでどれぐらいの展望なのか想像するしか無かったのだが、富士山を大きく正面に据えた見事な展望は期待以上、「見事」の一言に尽きた。
広い山頂一帯、北東方面以外は用意されたかのように木が生えておらず、富士山までの間に何も遮るようなものが無い状態。
一応、小さな展望台は用意されているのだけど、それを使わずとも全然問題無い。むしろ、芝生に寝転がりながらでも富士山が見えるぐらいの贅沢な状況だった。


今の季節は風が吹くとかなり冷えると思われるが、我々が着いたタイミングではほとんど風が無く、日差しの暖かさのお陰で春の陽気を満喫。
いつもなら山頂での食事はカップ麺とおにぎりが定番。しかし、今回は昨晩作り置きしてあったミネストローネをジップロックで持参して、そこにおにぎりとチーズを投入して即席リゾットを作ってみた。

カップ麺はカップ麺で美味しいので、不動のレギュラーでることに変わりはないけど、やはり手間暇掛けたものを食べると別種の感動を味わうことが出来た。セットのコーヒーも今回はチャイである。まぁ、お洒落。
文字通りすっかり味を占めたので、今後も低山ハイクでは食事に凝ってみようと思う。

足柄峠コース

いつもより少し長く寛いで、予定より15分遅く山頂を後にする。
下りは足柄峠コースを使い、足柄峠までは行かずに途中から直接地蔵堂に向かう。当初は足柄峠や万葉公園を経由して行こうかと思ったけど、他に立ち寄りたいところがあったので、バス時間との相談で端折ることにした。
万葉公園まで行くと車道歩きが長くなってダレるし、結果的に良かったと思う。

下山ルートはしばらく西側、つまり富士山に向かって下ることになる。こちらから上ってしまうと富士山を背にする形になるので存分には拝めず、矢倉沢ルートのように山頂で富士山が迎えてくれるような粋な演出も無い。
交通手段等によって難しい場合もあるかもしれないが、個人的には今回のルートが一番堪能出来る選択だと感じた。

山頂からしばらくは比較的勾配のキツい斜面を下る。西側なので乾き切らずに若干スリッピーな箇所があり、往路よりは歩き難いが、それでも他の山よりは格段に歩き易い。
20~30分も下れば緩やかになり、道も乾いているのでサクサク下りられるようになる。こちらのコースも全体的に案内板等の整備状態は良好なのだが、一部で道が不明瞭なポイントが続くので、悪天候時などには注意が必要。
とは言え、そういう場所では短い間隔で案内板が見えるように配慮されており、少し気を配りながら進めば迷う心配はあまり無いと思われる。
道は緩やかにUターンするので、最終的には南東に向かって明るい道を歩く形になる。

矢倉沢コースでも見掛けていたのだが、こちらでは群生していると言ってもいいぐらいに、赤い実を付けた低木が生い茂っていた。何だか分からなかったので帰宅後に調べると、園芸店などで売られている “アオキ” という木だったようだ。園芸用のものは葉が斑になっているのでイメージが繋がっていなかったけど、確かに斑以外はほとんど同じもののようだ。

足柄古道万葉うどん

下山開始から2時間弱で地蔵堂側の登山口に到着。この辺りも梅が見事。
最短でバスに乗るなら30分後の15時25分。この時間帯は1時間間隔の運行なので、1本逃すとロスが大きいのだが、名物の “足柄古道万葉うどん” が食べたくて店に駆け込んだ。
うどんなら手早く食べれば30分掛からずに食べられる可能性が高いし、それを逃した場合でも近くの「夕日の滝」で時間を潰すことが出来る。

店は古民家改修系の造りで、ちょっと演出過剰な感じもするけど、いかにも山里に来たという気分にはなれるので良いんじゃないかと。
メニューには何種類かのうどんが載っている中、2人揃って冷たい “とろろうどん” を注文。稲庭と讃岐の間ぐらいの太さの麺で、コシはそこまで強くないものの、とろろと相まって喉越しは抜群。山頂のランチから3時間と経ってないけど、大盛をあっさり食べてしまった。


時計を見ると、バスが来る10分前。注文から完食まで20分だったらしい。バス停は店を出てスグなので、計算したかのように完璧なスケジュールでバスに乗れそうだ。
バス停には往路のバスで一緒だった年配のご夫婦と女子大生のグループが並んでいた。山頂で記念撮影を請け負った縁で若干話をしたところ、我々と同じルートを使っていたようなのだが、途中で道に迷って川を渡ってしまったとのこと。
同じコースなら、下山直前に小さな沢があったけれど、その辺りは道もしっかりしていて、全然迷うような場所ではなかった。話を聞く限りではもっと早い時点で川を渡っていたような感じなので、多分、実際には我々よりも手前の分岐で地蔵堂に向かうルートを採ったのではないだろうか。
どうやら地図は持っていなかったようで、低山でも地図の重要性を感じた一幕となった。

秦野天然温泉 さざんか (旧:丹沢湯彩ほたる)

帰りは小田急線の東海大学前で下りて、丹沢方面定番の 丹沢湯彩ほたる に向かう。
高台にあるので少し手前から建物が見えるのだが、壁には「さざんか」と書かれていた。
どうやら経営が替わってリニューアルオープンしていたらしい。ほたるの時も安くて綺麗なので重宝していたが、さざんかもそれを引き継いでいるようだ。
ジャンルとしてはスーパー銭湯になるのだろうが、700円でかなりしっかりとした温泉に浸かることが出来るので、相変わらず使い勝手は良好。出た時にプチ夜景が見られるのも密かにポイントである。

今年は正月早々に鋸山に登ったが、あれはどちらかと言うと昨年の延長上に分類されていて、自分の中での今年1本目は今回のような気がしている。
まずは幸先のいいスタートを切ることが出来たので、このままスムーズに次を考えたい。

GPSデータ

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