檜洞丸 山頂
11時半より少し前に山頂に到着。自分の前には1組だけ、先客が居た。
山頂に到着した瞬間にはもう再び雲に覆われていて、晴れ間はほんとうにさっきの一瞬だけ。
山頂は木に囲まれて展望は無いけど、比較的広くて上が抜けているので、割と解放感がある。霧中での幽玄さという点では、山頂よりも少し手前のエリアの方が雰囲気を感じる。
しっかりとした木組みのベンチが点々としているので、座る場所の確保には困らない。
今回の昼食は夏山恒例の冷たい麺シリーズ、”冷やし担担麺” 。2リットル分の氷と一緒にパッキングしてきたので、夏でもキンキンに冷えていて旨い。
熊笹ノ峰・犬越路ルート
今回は下りがそこそこ長いので、30分程の滞在で山頂を出発。
檜洞丸はアクセスルートが幾つかあり、この山をメインに据えた場合には大体3~4ルートだが、地図やガイド本、山荘のサイト 等、媒体によって各ルートに対する評価がまちまちである。
上りで使ったツツジ新道が最も整備されていて安心というのは共通しているのだけど、それ以外のルートはどの情報をアテにするかによって、選択を左右しかねない。
上りとは別ルートで西丹沢自然教室方面に戻ろうとした場合、北上して熊笹ノ峰・犬越路と大回りで下りるルート、南下して石棚山を経由、西丹沢自然教室より手前のバス停に下りるルートの2つ。
熊笹ノ峰からさらに北上して神ノ川に下りるルートもあるが、バスの乗継が発生したりして少し面倒なので今回は候補から除外。
地図とガイド本を見る限り、犬越路ルートの方が難易度が高く、コース長もかなり長い。今回はなるべくスパルタで行こうと思っていたので、この犬越路ルートで下山する。
山頂からの下り口に立て看板があり、下のような注意が書かれていた。事前に情報収集していたので、ある程度そのような状況であることは把握していたのだが、こうして現地で改めて警告を受けると身が引き締まる。
山頂出発直後の北側斜面。警告通り、見事なまでに崩壊が進んでおり、不安定な足場が断続するので注意が必要。
この先もずっとこんな調子なのかと少し不安になったが、このルートではこの山頂直下の区間のみが酷く崩壊しているだけで、それ以降はそこまで極端な状況ではなかったので一安心。
下山開始から霧は濃くなる一方で、視界不良とまではいかないまでも、目の前の斜面以外はほとんど見渡せないような状況が続き、夏の最中とは思えないぐらいにひんやりとしている。ヤセ尾根上は風が強く、時折木々の葉に着いた水滴が飛んできた。
霧の向こうに何かあるなと思って近付いたら、雌鹿の群れだった。
大笄 (おおこうげ)・小笄 (ここうげ)
山頂から30分~1時間ぐらいの区間は大笄 (おおこうげ)・小笄 (ここうげ) と呼ばれ、鎖場やハシゴが幾つか登場する。落ちたら大怪我に繋がりそうな箇所は1~2つしか無いが、この区間も含めてしばらくはザレた岩場が続くため、体力・気力共に若干消耗が激しい。
一番高度があるクサリ。足掛かりは細かくあるので、体力や技術は特に必要としないが、傾斜としてはそれなりに急なので注意が必要。
犬越路
小笄以降もザレた岩場と背丈ほどの熊笹を掻き分ける、地味にシンドい道が長く続く。山頂以降の案内板はほぼ「犬越路」とあるだけなので、進んでいる感覚が乏しい。
この頃になると、時折雲が途切れて左右の山々を見渡せる瞬間があり、それを心の支えにして黙々と犬越路を目指す。
正面の山の中腹に突如埋め込まれたように出現する「犬越路避難小屋」。
山頂から約2時間、ここに来てやっと1つ目のベンチ。避難小屋は築浅でかなり綺麗。トイレもある。
犬越路からは再び熊笹のトンネルを抜けて、涸沢沿いを1時間弱歩く。
この涸沢がまた非常にザレていて、ここまでで消耗していると簡単に転びそうになる。水が流れていない狭い涸沢は風が吹かず、ひたすら蒸し暑くてストレスが溜まる。
結構長く感じるエリアなので、時間に余裕があるなら犬越路でしっかり休憩してから歩きたい。
普段は「山と高原地図」に記載されているコースタイムよりも短縮して歩くのが基本なのだが、この区間に関しては、むしろコースタイムより若干多く時間が掛かってしまった。運動不足で久し振りの山行とはいえ、あまり経験が無いことなのでいい教訓になりそうだ。
ただ、下山中に遭遇したのは2人だけだったが、いずれも自分が追い抜く側だったので、自分のペースがそこまで遅かったということではなかったように思う。
用木沢
用木沢に出るとちゃんと水が流れ、足場も安定してスムーズに歩けるようになる。
用木沢には所々で橋が架けられ、何度か沢を跨ぎながら進むことになるのだが、最初に一度だけ自分で岩場を渡っていかなければならない場所があり、増水が懸念される場合には事前に情報収集しておく方が良さそうだった。
ちなみに用木沢は非常に水が綺麗で、時々ブルーに見えたりして清涼感抜群。
犬越路から1時間ちょっとで用木沢出合に到着。この辺りはもうキャンプ場エリアの終点に位置しているので、登山道はここで終了。少し歩けば自販機もあるし、今の時季はキャンプ客で賑わっている。
ここから20分ほど車道を歩けば、ツツジ新道の登山口を横目にしつつ、出発地点の西丹沢自然教室に戻ることが出来る。
15時40分のバスに丁度乗れるタイミングだったので、10分も待たずに乗車。バスが発車した途端に大雨が降り出して、キャンプ場の人達は大変だったと思われる。
このバスを逃すと次は1時間半後だったので、ベストなタイミングで下山出来たと言える。
湿度が高い環境では発汗が多くなって水分摂取が増えることから、今回はリハビリも兼ね、いつもより多い2.5リットルの水を背負っていた。ザックは26Lの日帰り用だったが、装備重量としては1泊用に近付けてある。
運動不足+夏の低山+高ウェイトという条件に加え、実は前夜に食べ過ぎて下山直前まで腹調子が荒れ模様というコンディション。
いつもは出発前におにぎりを2つ食べるのだが、上記の不安からウィダーに変更。即効性はあるものの、やはり腹持ちせず、これが一番のマイナス要因だった。
以上を踏まえると、全体としてはまずまず悪くない山行だったと言えそうだ。数年前から候補に挙げていた山なので、望ましい天候の中で登れたのも良かった。
久々の筋肉痛も週末の八ヶ岳までには治まっているだろうし、万全の態勢で迎えたい。
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