▲ 真冬の遠足 – 鎌倉アルプス (159m)

昨年から丹沢に登り始めた社長に誘われて、鎌倉アルプスへ。
“〇〇アルプス” は “〇〇銀座” と同じぐらい溢れ返っている状態で、どんな山でも幾つか繋がっていれば、もう “アルプス” と銘打ってしまえという感覚。
元々鎌倉が好きなのと、10年ぐらい前に近くを登って以来だったので、この時季には丁度良いだろうということで、新調したザックのテストも兼ねて遠足登山。

ここしばらくは雨らしい雨も無く、冬らしい安定した天気が続いていたのに、どいうわけかこの日だけピンポイントに前夜から雨が降り、微妙な状態に。鎌倉での合流時間を10時から11時に遅らせても、ホームに降りた直後は横殴りの雨が降っていた。
11時になってようやく雨が上がり切った気配だったので、11時4分のバスに乗って、10分ちょっとで終点の鎌倉宮に到着。ここは撫でた箇所の悪い状態を身代わりしてくれる「身代わりさま」で有名。

天園ハイキングコース

鎌倉宮から歩いて10分、まずは瑞泉寺を目指す。そう言えば、このコースは5~6年前に瑞泉寺の梅を見るために歩いたなぁ。
今回は瑞泉寺の手前から右に折れて、すぐに民家の脇から入る登山道へ。登山道と言うか、まぁハイキングコースの入口と言うのが正確なところ。

今回歩くのは「天園ハイキングコース」と呼ばれているもの。
住宅街に囲まれるような立地のため、色々な場所からアクセスが可能なのだが、このコースを軸にして、始点と終点を調節するのが基本となるようだ。
岩と粘度の高い土、そして枯葉の積もった道で構成されている。岩と言っても、他の山のようなゴツゴツしたものではなく、滑らかで穏やかなのが特徴。足の引っ掛かりが少ないので、若干滑り易そうだが、危なげな箇所はほとんど無い。
雨後なのでスリッピーな状態を予想していたけど、一晩の雨ではそこまで影響しなかったようで、思っていたよりも快適に歩くことが出来た。

その代わり、この日は20度超えという異様な暖かさと湿度のため、ちょっと登っただけでも蒸し暑く感じ、長袖1枚でも平気なぐらいの状態。幸い、そこまでアップダウンが激しいコースではないので、適当に体温調整しながら進む。

歩き始めてから10分弱で、1つ目のビューポイントに到着。ここからは南西の住宅街を見下ろすことが出来る。晴れていれば富士山が見えるようなのだが、残念ながらこの日は影も形も見えず。
天園コースから外れて南南東の明王院方面に進んでみたが、特に何かあるわけでも無さそうなので、大人しく引き返して天園コースに復帰。

雨は上がったものの、空にはまだ厚い雲が覆い被さっていて薄暗い。
この辺りは岩が切り崩されて洞穴のようになっている箇所 (堀割状遺構) が散見し、時折、傾いだ木々が擦れ合って「ギィ、ギィ」と鳴き声のような音を立てている。
そこまで暗い道でもないのだが、鎌倉という霊場然とした雰囲気もあり、夕暮れ時に1人なんかでは歩きたくないなという印象。まぁ、夕暮れに1人で歩きたい山道なんて、そもそも無いのだが。

瑞泉寺の裏辺りの崖に置かれている「貝吹地蔵」。ここでようやく、本日1人目の擦れ違い。
この辺りは立派な並木道になっていて、視界も開けるので気持ちが良い。
途中、スギの木を登るリスを発見。どうやらこれが、伊豆の元猟師さんに聞いた “タイワンリス” であるらしい。姿を見ることが出来て嬉しいんだけど、話を聞いた後だけに複雑な心境…

天台山

貝吹地蔵の崖を登った直後の脇道を登ると、天台山の山頂がある。あるにはあるが、山頂までの誘導も無ければ、山頂自体にも看板さえ無い。申し訳程度の三角点と祠が置かれているだけで、冬でも展望は皆無。
自分はどちらかと言うと「ピークがあるなら登っておきたい」派なので登ってみたが、気付かずに見逃してしまう人も多いような、地味な山頂である。

天園休憩所

ハイキングコース入口から、寄り道も含めて1時間で「天園休憩所」に到着。
休憩所の裏手からは西側の街並みを見下ろすことが出来、腰を下ろせる岩場もあるので、小休止ポイントとしてオススメだが、小屋は岩場から少し下った位置にあるので、残念ながらセットで楽しむことが出来ない。
昼食は下山後の予定なので今回はスルー。おでんと猫が有名らしい。

峠の茶屋

天園休憩所から2~3分で「峠の茶屋」。この日は午前中までの雨のせいか、茶屋は休業中。数日前にここで食事をしたというブログがあるので、冬季休業というわけではないようだ。
ほぼ隣接していると言っていいぐらいの距離なので、どちらを利用しても大差は無いが、茶屋の方は少し高台になっているので、景色を楽しみつつ休憩したいなら、茶屋がいいかも。

雰囲気としては休憩所の方が “味がある” のだが、小屋の裏手が散乱しているのが少し気になるし、茶屋は何か注文しないと利用出来ないので、個人的には食料は持参して、休憩所裏手の岩場で景色を楽しみながら食べるのが一番なのではないかと思う。

茶屋のすぐ横に「横浜市内最高地点」のプレートが設置されていて、完全に鎌倉だと思っていたので驚いたが、地図で確認してみると、どうやらこの尾根が横浜市と鎌倉市の境界であるらしい。なるほど。

大平山

茶屋以降は砂利道だが車が走れる林道になり、5分と経たずにゴルフ場が出現。ハイカーからすると残念至極のガッカリ物件だが、立地を考えれば仕方が無いか。
ゴルフ場の裏を通り過ぎると岩の急斜面が登場し、この上が大平山の山頂。急斜面と言っても、このコースの中では比較的傾斜が大きいというだけで、ここまで全く体力を消耗していない状態であれば、殊更に言うほどのことも無い。
下からの見た目がなかなかのインパクトなので、それなりに期待して登ってみるのだが、ゴルフ場のレストハウスがあまりに大きいため、達成感や解放感は今ひとつ。
ちなみにこちらは鎌倉市の最高地点らしい。

大平山以降は再びハイキングコースとなり、若干アスレチック寄りの岩場もあって楽しい。本コース唯一のロープも登場するが、まぁ使うまでもない程度の階段状の岩場である。
この辺りからは、北側の今泉台 (住宅地) が見下ろせるようになり、いよいよ “裏山” といった雰囲気。その先には職場がある横浜ベイエリアも見え、若干現実に引き戻される感覚を必死で振り払う。

勝上献展望台

大平山から30分程で建長寺裏手の「勝上献展望台」に到着。
建長寺から繋がっていて、ここから下山する場合には拝観料が必要になるが、展望台までなら無料で利用出来る。ここからの眺めはなかなかのもの。
この頃にはすっかり天候が回復し、気温は20度を超えて蒸し暑いぐらいのコンディション。