▲ 常春の島で絶景を – 八丈富士 (854.3m)

火口

のんびり写真を撮りながら、1時間弱でお鉢のスタート地点に戻り、ここからいよいよ火口に下りる。現在の八丈富士は火山性ガスや蒸気が噴出していないので、火口の内側まで下りることが出来るのだ。

下りて間もなく、浅間神社と中央火口丘への分岐が現れる。
右に曲がれば、浅間神社への参拝道。左に曲がれば、観光ガイドに「悪路」と記された火口丘への道。火口丘というのは、溶岩ドームが冷えて隆起したものを指すらしい。
地元の樽前山 にも立派な溶岩ドームがあるけど、あれも火口丘と言うのだろうか。

浅間神社

とりあえず、地図で鞍部から10分と書かれている浅間神社に向かう。
登山道や火口外周ほど整備されているわけではないものの、一部区間では木道が敷かれていたり、参拝道としてそれなりに使われている感じはある。

分岐から5分で浅間神社に到着。古びた鳥居の雰囲気が良い。
古くから丸石奉納が行われているそうで、色とりどりの鮮やかに塗られた丸石が散らばっている。

中央火口丘

参拝道を引き返して分岐に戻り、今度は中央火口丘に向かう。国土地理院の地形図を見ると、小さな2つの崖 (地溝帯と言うらしい) を越えることになるようだ。
お鉢巡りで見下ろしたときに幾筋かの亀裂のようなものが見えていたので、多分あれがその崖なのだろう。

分岐直後は整備された砂利道だが、幾らも経たない内に道の雰囲気が怪しくなり始める。
踏み跡明瞭 → 踏み跡明瞭だが、枝葉を掻き分けて進む → 若干怪しい分岐が2つ3つ → 誤った方に進むと、底が見えない亀裂に遭遇 → 立って歩けないツゲの茂みを中腰で進む → …といった具合にどんどん悪路っぷりが進行し、最後はもう腰痛が再発しないかどうかの戦いである。ヤブ漕ぎの経験はほとんど無いので、これはかなりキツかった。
心は在りし日の少年に還っていても、身体は40手前のオッサンなのである。悲しい。

悲鳴を上げながらも何とかジャングルを抜けて、遂に火口丘の池に到着。これまでの激しい道程が嘘のような静けさで、小さな池は空を映して待っていてくれた。
池の周りは藻が生い茂っていて柔らかく、水際近くはジュブジュブとスポンジのように沈む。あまり調子に乗って近付くと、靴を濡らすことになるので気を付けた方が良さそうだ。
大穴の縁から見下ろしていたあの池に居るのだと思うと、何とも言えず感慨深い。

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スケジュール的なリミットが近付いていたので、一通り写真に収めて池を後にする。
来た道を戻る以外に選択肢は無く、つまり当然だがあのジャングルを再度抜けなければならない。しかし、先がどうなっているか分からない状態だった往路に比べれば、復路は勝手が分かっているだけに精神的な負荷はそれはどでもない。ひたすら中腰による身体的なダメージと戦うだけだ。(それがキツいんだけど)

やはりヒーヒー言いながら大穴の縁まで帰り着き、あとは気楽に舗装された登山道を下りて駐車場へ。他のメンバーも回り方はそれぞれだけど、全員無事に登頂は出来たようなので一安心。

あそこ寿司

下山後は あそこ寿司 という、何とも言えない名前の寿司屋で昼食をとり、温泉で汗を流したり、残った時間で裏見ヶ滝を観に行ったりして八丈島観光を終了。

天候だけが不安要素だったけど、終わってみれば終始安定した観光日和の2日間。
1,000mに満たないような山であっても、その山の成り立ちや周囲の環境によって、他では得難い個性的な魅力を持つことを再確認出来た島旅だった。

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