▲ 嵐の前の突貫ハイク – 平標山・仙ノ倉山 (2,026.3m)

平標山 → 仙ノ倉山

ここまではとりあえず順調に来たと言えるのだが、問題はこの先。目指す仙ノ倉山までは1時間弱の道程ながら、どう見積もっても天候悪化が避けられない。
強風は確実として、いつ雨が降り始めてもおかしくないし、展望の点ではここまでの間で十分得られているとも考えられるが…
当面は薄い雲の動きがある程度で、本格的な雨雲は付近に無いと判断して、ひとまずこのまま仙ノ倉山を目指すことにする。

平標山と仙ノ倉山との鞍部は、草原上の素晴らしいコース。
快晴と嵐が目まぐるしく入れ替わる状況に翻弄されながらも、時折現れる大パノラマに魅せられて必死に進む。

▲ 別ウィンドウで全天球写真を表示します

幾度かの小ピークを経て、9時半に仙ノ倉山に到着。標高2,026.3mはこの日の最高地点、そして二百名山の一座でもある。
覚悟の上だったのでショックは無いが、やはり雲に覆われて展望は皆無。雨こそ降っていないものの、凄まじい湿気を含んだ強風の中では、あっと言う間に衣服が濡れてしまう。まずはレインウェアを着込んで消耗を避けなければならない。

少し悩んだが、道中よりは風が弱まっており、もしかすると雲が晴れる瞬間があるのではという期待から、予定通り山頂で食事を摂ることにする。

食事中、目論見通りに雲が切れる瞬間があり、待ちに待った360度の展望を堪能することが出来た。
ただし、雲が切れるのも一瞬なら、雲に覆われるのもまた一瞬であり、カメラを構える頃には再び五里霧中。展望を得られるのは10分に一度、10秒のみといった状況だ。
しばらく落ち着いていた強風も、下山を開始する頃には再び荒れ模様。結果的には良いタイミングだったのかもしれない。

仙ノ倉山 → 平標山 → 平標山の家

30分ほどで平標山に戻るが、仙ノ倉山~平標山の間はもう、雲が抜けることは無かった。
復路はここから南に下山して、平元新道~上信越自然歩道を巻く形で駐車場を目指す。林道までの下りが結構キツく、距離もやや長くなるが、林道に出てしまえば雨でも問題無い。
松手山コースは最後の最後に急坂が待っているので、そこで降られることを嫌っての選択だ。

山頂からの下りは木の階段が延々と続き、疲労した足腰にはやや堪える。晴れていれば正面が素晴らしい展望だったはずなのだが…


山頂から30分で「平標山の家」。
あまり情報が無く分かっていなかったのだが、10年程前に新築された綺麗な山小屋だった。5~10月は有人で宿泊も可能らしい。
小屋の前には仙平清水なる湧き水もあり、給水が可能。チップトイレもある。


平標山の家以降も比較的急な斜面をガシガシ下る。山頂から小屋までの区間も含めて、本当に下り一辺倒。このコースは上りに使いたくない…
途中、メンバーの1人が腹痛 (および便意) を訴えたため、ストッパと正露丸を処方して何とか踏み止まらせるというスリリングな一幕もあった。

小屋から50分で上信越自然歩道に合流。登山道はここで終わり、以降は砂利の林道となる。駐車場までは1時間近く掛かるものの、ここまでで一気に標高を稼いだ分、傾斜は緩やか。
これで天候が悪化しても駐車場まで不安無く歩くことが出来ると思ったが、下ったことで雲から抜けたらしく、下の方は当分振り出しそうな気配は無かった。
リスクヘッジの観点で選択したコースだが、降らないなら降らないに越したことはない。濡れた装備で車に戻るのは、単純に面倒極まりないものだ。

登山道終点から25分でゲートを抜けて、駐車場までは岩魚沢林道を更に15分。