嵐の三浦半島暗夜行

相方が社員旅行で金・土と不在のため、当初は土曜に山に登ろうと画策していたのだが、どうにも天候が怪しいので泣く泣く山を諦め、他の選択肢を模索することに。どのみち雨が降ってしまうとレジャーには不向きだし、この際前夜スタートでどこかに行こうと方針転換。
自宅スタートで行けるちょっとしたエリアはあまり食指が動かなかったので、職場がある横浜出発で行ける場所ということで、伊豆方面と三浦半島をピックアップ。

横浜でカーシェア

伊豆も魅力的だが、翌日の午前中に戻ろうと思うとかなり慌ただしいことになってしまうため、とりあえず今回は気軽に行き来出来る三浦半島に向かうことにした。
三浦半島と言えば、6年ぐらい前に 鎌倉からマウンテンバイクで向かった ことが個人的に印象深い。その時は逗子~葉山の西海岸ルートだったが、今回は横須賀~観音崎の東海岸ルート。

今回は会社を深夜2時に出て、近くのカーシェアリングを利用する。
この時間からでも現地で時間が余ってしまうので、みなとみらいや山下公園方面を適当に流しつつ、横須賀街道~よこすか海岸通り (国道16号) を南下し、4時過ぎには観音崎に到着。ここには 横須賀からの船とバス三浦からの徒歩 で来たことがあったが、このシチュエーションは初めて。

観音崎の夜景

特にイベントも無く、これから天気が崩れるというタイミングなので、自分以外に人の気配は皆無。幸い、危なげな輩の気配も無いようだし、ここで車を停めて岩場の海岸で小一時間ぼんやりと過ごす。
5時になってもまだ真っ暗なままだったが、この頃から釣り目的と思しき車が何台か現れ始めた。こちらはカップ麺とおにぎりで小腹を満たす。

かもめ団地で夜明かし

観音崎は灯台下まで回り込まないと朝日が観られないのだが、1人でそこまで行くのは若干心細い。南に少し下れば東側が開けた海岸線なので、10分ほど走って “かもめ団地” に移動。
日の出時刻まで1時間ぐらいあるし、車内で仮眠を取って待つことにする。この時点で既に空は厚い雲に覆われつつあり、期待値としては限りなく低い状況だった。

携帯のアラームで6時過ぎに起床。朝日どころか、結構な勢いで雨が降っていて、強風に煽られた雨粒がフロントガラスを叩いている。
前日の予報ではこんなに降るとは言っていなかったから少々面食らったが、ここで待っても得るものが無いので、諦めてとりあえずもう一眠り。7時起床で次の目的地に向かう。


三浦半島の南端に向けて、降ったり止んだりの中を走る。時折猛烈に降ったかと思えば、雲間から綺麗な青空が覗いたりするドラマチックな空模様。
しばらく走ると左右に広大な田園風景が広がる。何が栽培されているのか降りてみると、何と一面の大根畑だった。遠くには風力発電のプロペラが並び、なかなか不思議な光景である。

宮川湾 まるよし食堂

最後に「ここ?」という細い急な小路を下り、8時前に宮川湾という小さな湾に到着。湾自体ではなく、今回の目的は まるよし食堂 (食べログ) で朝食を食べること。
食べログで「8時から営業」と書かれていたのを頼りに訪れたのに、何と店の前には「9時開店」の貼り紙が。ここまで来たら、もう待つしか無い。

店のすぐ脇に湾を利用する人向けの駐車場が2つ設けられていて、駐車料金は1,000円。釣りに出たりして1日使うことを想定した価格設定なので、食事で使うには凄まじく高い。某サイトでは店の前に1台だけ停めさせてもらえると書かれていたが、まだ店が開いていないので、どうにも交渉の余地が無かった。
路駐するスペースが微妙だったので、諦めて奥の第2駐車場に停める。間髪入れずに管理のオバちゃんがやって来て、きっちり1,000円を徴収された。

湾は風が強かったが、雨は止んでいたのでカメラ片手にプチ散策。釣り客が2組ほど糸を垂らしていたけど、この荒れ具合では大した釣果も期待出来まい。
間も無くして激しい雨が降り始め、釣り客も自分も車に撤収。何とか最低限の写真は撮れた。


9時少し前に若干小雨になったので、レインウェアを着込んで店の前に向かう。お店の女将さんとそのお母さん?の2人が開店の準備をしていて、俺を見て少し早く店に入れてくれた。
飾り気は少ないサッパリとした食堂だが、とても綺麗に保たれていて落ち着く。淹れてもらった緑茶が身体に沁みる。

メニューが色々あって大いに悩みつつ、今回は「海かけ丼」に決定。”山かけ” ならとろろだが、”海かけ” はワカメの芽かぶを細かく刻んで、鮪の剥き身の上に掛けたもの。他にお新香と小鉢、味噌汁が付いて1,300円。
前もって決めていた地ダコのブツと、はばのりも追加で注文。はばのりは今回店を調べるまで知らなかったけど、元々はアサクサノリの代用品として、自家用に生産されていたものらしい。近年ではそういうレアものっぽさが脚光を浴びて、高級食材となっているらしい。(Wikipedia)

まずは海かけ丼。うん、旨い。
観光地で出て来るような「如何にも」な派手さは無いけど、シンプルに良いもの食べてる感覚。
次にタコ。これは普段食べられないぐらいブリブリに歯応えがあって俺好み。

そして、期待半分、不安半分のはばのり。軽く炙ったものが皿に盛られて出て来るのだが、醤油を垂らしてそのまま食べても良し、細かく砕いてご飯にまぶしても良し、味噌汁に入れても良しとのこと。普通の海苔よりも磯のエグみが強く、そのままだと苦手な人も居るかもしれないぐらい個性的。
味噌汁に入れるとエグさが薄まって、アオサよりも歯応えのある具としても食べられるが、やはりこの個性を楽しむなら、そのままかご飯にまぶして食べるのが正解だと思う。

飛び抜けたインパクトは無いお店だけど、丁寧な仕事の地物を食べられる満足感は非常に高い。

ちなみに店の前に車が無いのを見て、女将さんに「歩いて来たの?」と訊かれた。
かなり早く来てしまったので駐車場に停めていることを伝えると、雨の中をわざわざ駐車場管理のオバちゃんのところまで出向いて、店だけの利用だからタダにしてもらえるように交渉してきてくれた。感涙。
雨が収まるまでゆっくりしていきなさいと言って頂いたので、ご厚意に甘えて、しばし自分一人の静かな店内でのんびりと雨が弱まるのを待つ。ああ、落ち着く…

三浦海岸

雨が収まった一瞬を逃さず、小走りに車に戻る。時刻はもうすぐ10時になるところ。開店時間を1時間見誤ったため、それがそのままロスとなってしまい、帰りのスケジュールはかなり遅れ気味。
この後は横須賀海岸の温泉に立ち寄る予定だったのだが、この天気では露天風呂の眺めも期待出来ないので、今回はこのまま真っ直ぐ横浜に戻ることにする。

三浦海岸のコンビニに立ち寄った際、パラセイリングしている姿が見えた。ここまで風が強いとさすがにコントロールしづらいようだが、なかなか気持ち良さそう。
砂浜には大量の大根が干されていて、パラセイリングとのギャップが面白い。

横須賀市街地を通る頃にはさすがに交通量も増えて、所々でプチ渋滞に捕まりつつ、2時間ちょっとで横浜のステーションに戻り、無事に車を返却。
帰りがこれまた激しい雨で大変だったが、久我山に戻る頃には小雨になっていたので、何とか自転車で自宅まで辿り着くことが出来て一安心。

突発的な計画と生憎の天気でグダグダになりつつ、今まで足を延ばしていないエリアにも行けたし、やはり夜出発の企画は否応無しにテンションが上がって楽しい。次はどこ行くかな。

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